所有しているだけで、いかにも趣味人といった風情がうれしいオープンカー。新車で買うには予算が厳しい人でも、中古車だったら何とかなるかも。それが100万円台なら……もう、オープンカーに憧れるのをやめましょう。

文/FK、写真/トヨタ、日産、マツダ、三菱、CarsWp.com

■不人気車だったからこそ愛しすぎる悲運の3代目マツダ・ロードスター

2005-2006日本カー・オブ・ザ・イヤーをはじめ世界各国で30以上の賞を獲得し、評価もすこぶる高かった3代目ロードスター

 今となっては希少なライトウェイトオープンスポーツカーのロードスター。

 現行の4代目はデビューからすでに10年以上が経過したが、その人気にはいっさいの陰りは見えないロングセラーモデルとなった。

 しかし、ロードスターの歴代モデルのなかには不人気車というレッテルを貼られたモデルも存在した。それは、2005年8月に発売された3代目。

 先代モデルからデザインを一新し、エクステリアはロードスターならではのユニークさを継承しながらモダンで親しみやすいスタイリングに、インテリアはクリーンな造形や新しい素材感を基調とすることによってシンプルでありながら先進的な印象を与えた3代目。

 また、ボディは全幅が1700mmを超える3ナンバーサイズとなり、新開発の2.0リッター 水冷直列4気筒DOHC 16バルブ MZRエンジンも軽快さ、伸びやかさ、力強さ、リニア感、サウンド特性をバランス良く融合した一級品であった。

 加えて、アルミ製トランクリッドの採用をはじめ、重量削減が可能な部位を洗い出すグラム作戦を展開した結果、2代目と同等のコンパクトで軽量なボディを実現。

 2006年8月にはルーフをホイールベース間のシートバックスペースに収納する電動ルーフシステムを採用したパワーリトラクタブルハードトップを発売し、順風満帆に思えた3代目だったが、2008年からセールスが伸び悩むことに……。

 3ナンバーサイズのボディを採用したことでライトウェイトオープンスポーツカーのイメージが薄くなったことが不振の要因のひとつになったことは間違いなく、2015年5月に4代目にバトンを渡した。

 現在の中古車市場では100万~200万円と価格帯に幅はあるが、その高いパフォーマンスを考えれば、比較的お手頃感がある1台といえそうだ。

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■目立ちたければ日産・フェアレディZ、狙い目はZ33型のロードスター一択でしょ!

 Z伝説の始まりは1969年12月に登場し、世界のスポーツカー市場に衝撃を与えたS30型。

 しかし、フェアレディという車名のルーツを辿っていくとその歴史はさらに古く、1960年に北米輸出専用車として発売されたダットサン・フェアレディ(SPL212型)まで遡る。

 このダットサン・フェアレディはオープンボディが採用されたが、ここで紹介するのはそのDNAを継承するZ33型のロードスター。

 自動開閉式のソフトトップを装備した2シーターのオープンモデルであるフェアレディZ ロードスターは、北米では350Z ROADSTERとして2003年7月に先行発売され、美しいフォルムと他車を圧倒する動力性能が高く評価されていた。

 2002年7月に日本で発売されたクーペの開発段階からZファミリーの1台として設計されていたフェアレディZ ロードスターは、クーペ同様の動力性能を達成しながらオープンモデルならではの“快適な走り”、“デザインの美しさ”、“容易な開閉操作”という3つの付加価値を実現。

 エクステリアは、ストレージリッドの採用によるソフトトップ格納時の流麗なフォルムや非対称のバルジ&プロテクションバーのデザインによるスポーティなイメージを追求。

 さらなるパーシブドクオリティの追求による上質で軽快感のある室内空間や爽やかな風を体感できる新感覚のネットシートを採用したインテリアもフェアレディZ ロードスターの特徴であり、VQ35DEエンジンがもたらす圧倒的な加速性能もフェアレディZ ロードスターの大きな魅力であった。

 そんなZ33型のフェアレディZ ロードスターは、2009年10月に登場したZ34型でも継続して販売された。

 ちなみに、現在の中古車市場における価格相場は平均100~120万円。

 専用のボディ構造部品採用や剛性向上により、オープンボディでありながら操縦安定性はきわめて高く、見た目と走りを両立した好バランスの1台であることは言うに及ばない。

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■トヨタ・ソアラ(40系)は“珠玉のプレステージコンバーチブル”のオーラがスゴい!

誕生から20年目の節目となる2001年4月に登場した4代目ソアラ。コンパクトなキャビンとなめらかな曲面から構成される引き締まったフォルムが特徴だ

 日本におけるハイソカーブームの火付け役としておなじみのソアラ。2001年4月に登場した4代目では“高級パーソナルカー”をよりいっそう色濃く打ち出すべく、コンバーチブルがラインナップに加えられた。

 その特徴は“優美に開閉するメタルトップ。

 スロースタート・スローストップ制御によって約25秒の滑らかな動作を実現した電動開閉式メタルトップによって優雅に変身するコンバーチブルボディは、クローズ時はもとよりオープン時も優美なスタイルを創出。

 メタルトップクロース時のクーペスタイルではコンパクトなキャビン、クリーンカットのラゲージドアに連なる流麗なフォワードモーションシルエットによってダイナミックな伸びやかさを表現。

 オープンスタイルでは開放感あふれるエレガントさと力強さを融合し、クーペスタイルに負けず劣らずの美しいフォルムを生み出した。

 また、“コンバーチブルのインテリアはエクステリアそのもの”のコンセプトのもと、吟味した素材の特性を活かした上質なしつらえによって、高級感とスポーティさを融合したインテリアもお見事のひと言でインパネ、コンソールボックス、ドアトリム、シートなどには高級感と安らぎを与える自然素材のウッドパネルや本革表皮が採用された。

 もちろん、走りも一級品で4.3リッター V8エンジンと先進の5ATだった5 Super ECTとの組み合わせがスムーズで伸びにある加速性能も実現するなど、珠玉のプレステージコンバーチブルたるスペックが与えられた。

 そんな4代目ソアラのコンバーチブル、現在の中古車市場で平均価格が100万円前後で推移。

 20年以上前のクルマとしては少々割高に感じるかもしれないが、若い頃に憧れた1台が100万円前後で手に入るなら……という人もいるのでは?

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■三菱・エクリプス スパイダーを選ぶ一番のメリットは“人と被らないこと”にあり!

 1989年に現地生産の北米専用モデルとしてデビューし、翌1990年に輸入されたエクリプス。1994年に2代目が、1999年には3代目が登場したが、その3代目で日本に導入されたのは2004年10月に発売された4シーターのオープンルーフモデルのみであった。

 映画「ワイルドスピード」に登場して話題にもなった3代目のエクリプス スパイダーは、2003年の東京モーターショーにおける参考出品を経て国内販売を開始した。

 灯火類や排出ガス仕様を日本の国内法規に適合させる一方で、左ハンドルを含めた北米仕様の雰囲気を極力排除してダイナミックなアメリカンテイストを満喫できる仕様に模様替え。

 その走りは可変吸気機構付きのV6 3.0リッター SOHC 24バルブエンジンによってスムーズかつトルクフルで扱い易い特性を示した。トランスミッションにはDレンジにおいてはイージードライブ、スポーツモードを選択すればマニュアル感覚のシフト操作を可能としたスポーツモード付きのINVECS-II 4ATを採用。

 エッジが効いたシャープなボディラインがメカニカルな力強さと機能美を表現したエクステリアや、ブラックを基調色としたインテリアとも相まってスポーティさを強調。

 それでいて、ロングホイールベースがもたらすゆとりの居住空間や幌の収納スペースを極力小型化することで後席の居住スペースにも配慮したパッケージや、走行時の剛性向上はもちろん、精度安定化によって風切り音や水漏れにも配慮したボディパネルの大型一体成型化の採用など、快適性もしっかりと確保されていた。

 そんなエクリプス スパイダーは2006年3月に国内販売が終了したが、現在の中古車市場ではタマ数極少ながらも平均価格は80~90万円と比較的お手頃。

 他人となかなか被りそうにない希少なモデルなだけに、個性を求める人には良い選択かもしれない。

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