国内自動車メーカーのBEV計画も出揃ってきた感があるが、ここへきて新たな情報がきこえてきた。日産が、かつて技術プロモーション用として生産した「リーフNISMO RC」をベースにBEVスポーツを開発し、市販に向けて動き出しているという!!
※本稿は2024年9月のものです
文:ベストカー編集部/写真:日産、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年10月26日号
■日産のBEV計画
日産は2024年3月に新たな経営計画「The Arc」を発表。2026年度までに2023年度比100万台の販売増と営業利益率6%以上を目指すとした。
そのための施策として、
・2026年度までに16車種の電動車両を含む30車種の新型車を投入。
・2026年度までに内燃機関(ICE)車の60%を刷新。
・日産独自のファミリー開発でBEVの開発コストを大幅に削減し、同コンセプトで開発したBEVを2027年度より生産開始
などの目標と計画を掲げている。
また、「The Arc」には、今後3年間はICEを軸に新商品を投入するとの記述もあり、トヨタ同様、日産もマルチパスウェイ戦略を推し進めていくことがわかる。
日本市場に関しての計画も具体的で、2026年度までに乗用車の8割を刷新し、5車種の新型車を投入、そして、全ラインナップの7割を電動車とするとしている。
気になるのは、その5車種の新型車だが、キックス、エルグランド、スカイライン、リーフのフルモデルチェンジは確実で、さらにマーチ後継車も候補となる。
このうちBEVで登場しそうなのが新型リーフ、新型スカイラインとマーチ後継車で、エルグランドに関しては後述するが、エクストレイルベースのe-POWER搭載車となる線が濃厚である。
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■日産らしさを追求する電動スポーツ
日本市場における2026年度までの5車種の新型車は、この予想が正しければもう埋まっているわけだが、ここにきて初めて聞く情報が入ってきた。
かつて技術プロモーション用として生産された「リーフNISMO RC」をベースにするBEVのスポーツカーが市販に向けて動き出しているというのだ。
リーフNISMO RCは初代リーフベースの01モデルが2011年、2代目ベースの02モデルが2018年に作られている。02モデルは世界各地でのプロモーション用に6台が生産され、日本でもイベントで公開したり、またメディア向けの試乗会も行われた。
02モデルは120kWのモーターを前後に2つ配置する4WDで、トータル240kW(約326ps)/640Nm(約65.3kgm)を発生した。フルカーボンモノコックを採用し、車両重量はBEVとしては軽量な1220kgで、前後重量配分は43:57だ。
6年前に作られたクルマだが、今でも充分に通用するスペックだ。リーフNISMO RCをベースにするということは、このコンセプトのまま作られるBEVの2シーター4WDスポーツということで、それは「アリアB9のスポーツカー版」ということもできるし、あるいは「トヨタFT-Seの日産版」ということもできそうだ。
先述したように「The Arc」ではBEVの開発コストを大幅に削減し、そのコンセプトで作るBEVを2027年度より生産するとしている。
また、日産は福岡県にリン酸鉄リチウムイオン電池の工場を新設して2028年度から稼働を開始し、全固体電池も2028年度から量産を開始すると発表しており、そちらの動きとの兼ね合いも気になるところだ。
さらにいうなら、電動車のテクノロジーは日進月歩で、2026〜2027年頃なら、小さなエンジンを補助的に使うレンジエクステンダーEVのラインナップが広がっている可能性もある。
この2シーターBEVスポーツもクルマのコンセプトは明快だが、どんな技術が採用されるかを予測するのは難しい。ホンダとの提携で生まれる技術もまだ読みにくい。
ただ確実に言えるのは、日産が本格BEVスポーツを計画しているということ。そして、それは日産が次世代車の時代になっても「日産らしさ」を捨てないと意思表示しているということ。実に楽しみな一台である。
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