コンパクトなスポーツスクーターとして日本でも高い人気を誇るホンダPCX、その最新モデルとなる「PCX 125」と「PXC 125 DX」が欧州で発表となった。ライバルである「NMAX 125」の新型導入も先日欧州で発表されており、欧州のコンパクトスポーツスクーター市場が活気を帯びている。
文/後藤秀之ユーロ5+に対応したエンジンを搭載
PCXはスクーターブームによって、豪華拡大路線にあったスクーターを本来のコミューターとして回帰させた立役者と言えるだろう。ヨーロッパにおいては125ccモデルのみが導入されていたが、日本では125と155の二本立てで導入、155はその後排気量が上がって160へとモデルチェンジした。現在発売されているのは4代目モデルであり、今回発表されたモデルで5代目とになる。ラインナップはスタンダードの「PCX 125」と、装備が充実した「PCX 125 DX」の2グレードとなる。
今回の5代目モデルのポイントは、新たに始まるユーロ5+排出ガス規制に対応したことだろう。エンジンはECU設定が更新され、ユーロ5+準拠のO2センサーを備えて強化された「スマートパワープラス」(eSP+) 4 バルブエンジンとなっている。ボア×ストロークは53.5×55.5mmと4型と同じで、圧縮比も11.5:1で変更はない。このリニューアルされたエンジンは最高出力9.2kW、最大トルク11.7N・mのスペックで、WMTC モードで47.6km/Lの燃費を実現している。
オフセットシリンダーを採用することで、ピストンとボアの接触による摩擦が低減され、燃焼エネルギーを効率的にクランクシャフトに伝達。鋳鉄スリーブが内径の歪みを抑え、ピストンリングの張力が下がることで摩擦が減少する。また、油圧カムチェーンテンショナーが内部振動を減らして燃費を改善し、エンジン効率をさらに向上させている。モトクロッサーCRF450Rにも採用されているピストンオイルジェットは冷却性能を維持し、これによって点火時期を進めてノッキングなどの異常燃焼を防止している。電子制御のブラシレスACGスターターはクランクシャフトの端に直接取り付けられており、スターターモーター兼オルタネーターとして機能している。
その他、年日や環境性能を向上させるアイドリングストップ機構や、後輪のトラクションを制御するHSTC(ホンダセレクタブルトルクコントロール)も搭載している。HSTCがホイールスピンを積極的に低減しているときは、ダッシュボードの「T」インジケーターが点滅するようになっており、このシステムを完全にオフにすることができるようになっている。
熟成度を増した車体周り
フレームは高剛性で軽量なチューブラースチールフレームで、耐久性と機敏なハンドリングを実現ている。ホイールベースは1315mmと4代目と同じ設定だが、キャスター角が25.3°から26.5°へ、トレールが79mmから80mmへと若干ではあるが変更されている。
フロントフォークは31mm径でリアはツインショックタイプで、DXには専用の別体リザーバータンクタイプリアショックが装着される。ホイールサイズはフロント14インチ、リア13インチと4型から変わらず、タイヤサイズはフロント110/70-14、リアが 130/70-13となる。
ブレーキは前後ディスクタイプで、フロントが2ポットキャリパー、リアはシングルポットキャリパーを220mm径のディスクローターに組み合わせる。
最新のデザインを採用し、DXには5インチカラーTFTスクリーンを採用
デザインは一新されており、その特徴的なLEDヘッドライトは「V」字型のライトシグネチャーを中心に構築。ボリューム感のあるのフロントフェアリングを持ちつつウエスト部分で引き締まり、ブラックアウトされたスクリーンと組み合わせることで効果的な防風効果を発揮する。
標準グレードのコクピットにはLCDスクリーンが採用されているが、DXにはカバーガラスとTFT画面の間の隙間を樹脂で密閉することで反射を軽減した5インチカラーTFTスクリーンを採用。Honda RoadSyncアプリを介して、iOS/Androidスマートフォンと接続することも可能だ。左ハンドルバーに設けられた4方向トグルスイッチによって、ターンバイターンナビゲーションを操作したり、Bluetooth ヘルメットヘッドセット経由音楽を聴いたりすることもできる。
シートの下には30.4Lという大容量のラゲッジスペースが設けられ、グローブボックス内にはUSB-Cソケットも設けられる。また、スマートキーが標準され、これはオプションの35Lスマートトップボックス連動させることができる。
魅力的なデザインと装備を備えたこの「PCX 125」とPCX 125DX」は、当然日本には160cc版も追加して導入されることになるだろう。125のデビューはおそらく来春のモーターサイクルショーで、160は少し遅れてのデビューとなるかもしれない。
PCX 125/DX主要諸元(2025・欧州仕様)
・全長×全幅×全高:1935×740×1225mm
・ホイールベース:1315mm
・シート高:763mm
・車両重量:133kg/134kg
・エジンン:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒125cc
・最高出力:9.2kW/8750rpm
・最大トルク:11.7N・m/6500rpm
・燃料タンク容量:8.1L
・変速機:Vベルト式オートマチック
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/70-14、R=130/70-13
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/418196/
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。