ファミリー層にとってミニバンが絶大な支持を得ていた2004年に、ホンダは独創的すぎるコンセプトを盛り込んだエディックスを新提案。3人×2列という類稀なシートレイアウトは話題を呼んだものの販売促進へは結び付かず、2009年にひっそりと姿を消したのだった。
文:小鮒康一/写真:HONDA
■子育てママは感激の3人×2列のシートレイアウト
多人数乗車が可能なモデルは3列シートを備えたミニバンである、という固定概念を打ち砕く、3人掛けシート×2列という斬新なシートレイアウトで2004年に登場したのが、ホンダエディックスだ。
ベースとなったのは7代目シビック。同モデルと同じ2,680mmのホイールベースと4,285mmの全長を持つショートスタイルながら、全幅を1,795mmへと拡大することで横に3人並びで乗っても窮屈すぎない室内空間を実現した、非常に個性的なモデルとなっていた。
3人×2列というシートレイアウトは、1998年にフィアット ムルティプラや日産ティーノがすでに実現していたが、エディックスの大きな違いはシートアレンジの豊富さだった。
前後のシートは当然横一列に配置することもできたが、中央のシートを後方へスライドさせることが可能。V字型のシートレイアウトをとることができるようになっており、窮屈さを低減することに成功したのだ。
またフロントセンターシートは最後端まで下げることで、万が一のときでも前席エアバッグやインストルメントパネルまでの距離を十分とることができる。以上のことから、チャイルドシートやジュニアシートの装着が実現できたのもポイントだ。
通常、チャイルドシートなどはエアバッグの影響を受けにくい後部座席に装着することが基本となり、運転席からのコミュニケーションが難しくなってしまうが、エディックスであればすぐ隣に子どもを座らせることも可能に。子育て中のユーザーにもピッタリの1台となっていたのだ。
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■斬新的すぎるコンセプトが空回り!?
3列シート車の場合、3列目シートに座った人はフロントシートの乗員とのコミュニケーションが取りにくいという問題があった(そのためセレナにはインカーホンのオプションがあった)。ところが、エディックスであればその心配も少ないという利点があったのも見逃せない。
2列目シートは3脚それぞれが独立してワンタッチでダイブダウン格納ができるようになっており、リアシートを全て格納すれば26インチのマウンテンバイクを3台積むことができる広い荷室スペースを確保できたほか、独立して格納することで長尺物と人員を同時に乗せることができるレイアウトがとれるなど、自由度の高さも非常に魅力的。
そんなエディックスではあるが、短い全長に対して全幅が広すぎたのが仇となる。具体的には狭い道ではやや扱いづらかった点や、エントリーグレードの排気量が1.7Lと中途半端だったこと(マイナーチェンジで1.7Lは廃止され2.4Lが追加)、ミニバン的な使い方を想定しながらもスライドドアではなかったことが要因と推測される。結果大人気車種にはなれず、1代限りで終売となってしまった。
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