総合電機メーカーのソニーがEVビジネスに乗り出した時には誰もが度肝を抜かれたが、今度はシャープが参入する。2024年9月に行われた同社のイベントで、コンセプトカー「LDK+」を公開。畑違いの参入に見えるが、シャープは秘策を持っていそうだ!?

※本稿は2024年10月のものです
文:角田伸幸/写真:シャープ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年11月10日号

■今こそ言いたい……目の付けどころがシャープだね!

シャープが公開したEVプロト「LDK+」。多人数乗車ではなく居間としての機能を追求

 ソニーに続いて、今度はシャープがEVビジネスに参入する。同社は2024年9月17・18日、都内でイベントを開き、コンセプトカー「LDK+」を公開した。

 このクルマは一見ミニバンだが、オフィスやリビングルームとして使うことを想定している。車両最後部には65インチの大型ディスプレイを備え、照明や空調はAIが自動制御、通信機能も備えているから、まるで隣の部屋のように使えるクルマだという。

 それにしてもEV開発は簡単じゃない。ソニーがホンダに頼ったように、実はシャープにも助っ人がいる。それが他ならぬ同社の親会社、鴻海精密工業だ。

 以前にも紹介したが、鴻海はEVの隠れた巨人。同社はスマホの受託生産で成功したが、それと同じ要領でEVが作れるのだ。

 ポイントは「MIH」というEVプラットフォーム。EVに必要な車台や駆動系、自動運転システムなどを取りそろえ、EVを作りたい企業から注文を取って鴻海が生産する。実際、鴻海の地元・台湾ではこの方式でEVバスを作り、すでに高雄市などを走り回っている。

 「そんなこと他社でもできるだろ」と思うかもしれない。しかしMIHがスゴイのは、世界3000社近い企業が加わるオープンソースだということ。デンソーやジェイテクト、ニデックといった名だたる日本企業も参画し、絶え間ない改良を行っているのだ。

 その輪の中にシャープもいる。つまりシャープは走りや充電性能などは鴻海まかせで、自社の得意分野に全力集中できる。内燃機関ではありえない、まさに新時代のクルマ作りなのだ。

 今後はシャープに限らず、思いもしない企業がEV開発に名乗りをあげるかもしれない。

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