1964年に誕生した、日野自動車初の中型リアエンジンバス、RM100の系譜を継ぐのがこのRL300/RL320だ。RM100が1970年にRL100へとモデルチェンジされ、1975年にRL300/RL320に進化した。ここでは当時のカタログでRL300/RL320をご覧いただこう。
●車両データ:日野・中型バス RL300/RL320
(記事の内容は、2021年5月現在のものです)
執筆/バスマガジン編集部 カタログ提供/難波有
※2021年5月発売《バスマガジンvol.107》『懐かしバスのお宝カタログ』より
■現在のレインボーへと続く実力派の中型バス
ここで紹介する2種類のRL、型番数字の違いは全長の違いとなる。ホイールベース、オーバーハング超が異なり、それぞれのキャラクターを築いている。RL300は先代のRL100と同じボディサイズを踏襲したが、RL320は全長で480mm、ホイールベースで310mm長い。
この長さの違いが扉設定の違いを生み、前扉車と中扉車は共通で、2扉車がRL300では前中、RL320では前後とされた。方式はいずれも前折・中引だ。さらにRL300にはレンタカーニーズの設定として、29名定員の前扉車が別にラインナップされている。
この時代のバスらしく、車両の設定には共通で、デラックス観光(前扉/補助席付き)、一般観光(前扉)、自家用(中扉)、路線(前中/前後)と棲み分けがなされている。RL320の全長の長さゆえに、オーバーハングも長くでき、後扉の設定が可能になった。
乗車定員はRL300のレンタカー仕様が最小の29名で、最大はRL320の路線仕様で60名だ。エンジンは共通の160psを発生する6211cc直6のEH300型を搭載。これを5速のギヤボックスで変速する。
また、当時を思わせる設定として、空調設備が上げられる。デラックス観光では専用冷暖房装置、一般観光、自家用ではヒートポンプ式暖房装置、路線ではベンチレーションであることが、このカタログで説明されている。
なおカタログ写真ではシート素材がモケットのようになっているが、注意書きとして「標準シートはビニールレザーです」と記されている。
1つの車両に多彩なニーズを可能としたこの時代のバス、中型とはいえ、現代のバスとは大きく異なったポテンシャルを持っていたに違いない。
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