当時はマツダの救世主とも言われ、その功績は現在でも伝説として語り継がれている初代デミオ。今までになかった新コンセプトを生み出した「マツダ・スピリット」を振り返っていこうじゃない!!
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部
■マツダらしい単純明快なコンセプトとそれに呼応する開発陣
1996年に登場した初代デミオ。すべてが新規開発というわけではなく、既存のコンポーネントを多数活用して、短期間で発表・発売までこぎ着けた1台だ。しかし、そこに込められた想いはマツダの魂そのものだった。
「新しい楽しさにあふれたクルマを作ろう」、「乗る人の生活や個性に応えるクルマをつくろう」、「世界中の人々が信頼をはぐくむクルマを作ろう」。これがデミオ開発時のマツダのビジョンであり、ファミリアの時代から現代まで受け継がれる信念である。
当時はこれを「That’s MAZDA」と呼んだ。そして新ジャンルの自由形ワゴン、デミオが誕生したのだ。
運転しやすいコンパクトなクルマと、たくさん荷物の積めるクルマ。相反するとも思われたこの2点を両立したのがデミオの凄さだ。そこには、たくさんのアイディアと同時に、多くの「割り切り」があった。
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■小さく見えて、大きく乗れる!コレまさしくデミオ
デミオのボディサイズは、全長3,800mm×全幅1,670mm×全高1,535mm。現行のマツダ2でも全長が4mを越えているから、初代デミオがどれだけ小さいクルマだったのか、お分かりいただけるだろう。
このボディサイズで、室内長1725mm、室内幅1375mm、室内高1240mmを作り出す。そして、広さを感じられる様々な工夫が盛り込まれた。
広大な室内空間のヒントになったのは、当時大流行していたミニバンだ。コンパクトカーながら、そのボディ形状に流麗な部分はほとんどなく、非常にスクエアに造形されているのがデミオ。これにより頭上スペースはもちろんのこと、肩まわりにも広い空間を作り出している。
また、リアシートはフロントよりもヒップポイントを高くし、見晴らしを良くした。いずれも、ミニバンでよく使われる技法だ。
おまけに、リアシートが160mmも前後スライドできるのも、5:5分割で左右独立して17段階のリクライニングができるのも、ミニバン顔負けの機能。さらにリアシートにはダブルフォールディング機能を備え、ラゲッジスペースのフロアを広くするとともに、ラゲッジスペースに深さを与えている。
この深さと広さが、2名乗車時にマウンテンバイク2台を収納する驚異のラゲッジスペースを生み出した。今の若者が初代デミオを見たら、自転車2台が入るなんて想像できないだろう。
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■凝らないことがデミオの良さ
多数のワザを駆使した魔法の室内空間なのだが、インパネ周辺やドア内張りなどは飾り気がほとんどない。シートの柄がマーブリング模様でなければ「タクシーに乗っているのか」と勘違いするような内装なのだ。
しかし全てに凝らないことで、デミオは空間として満足、道具として割り切って使える満足、そして価格の、3つの満足を生み出すことが出来ている。これが初代デミオの最大にして最高の魅力あり、マツダのクルマづくりの原点であると感じるのだ。
今は少々凝ったクルマがマツダには多すぎるような気がする。確かに良いつくりでカッコもイイのだが、デミオのようなシンプルさもどこかに垣間見えてほしい。
That’s MAZDAの時代も、ZOOM ZOOMの時代も、シンプルにユーザーへ訴えかけるマツダの良さが際立っていた。今のクルマづくりに、デミオから受け継がれるシンプルさが加われば、マツダはさらに大きく飛躍しそうだ。
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