日産とホンダが経営統合へ向けて協議に入ると一部報道があり、世間はその話題で持ち切りだ。そんな渦中に、台湾のホンハイが日産の買収を考えているとの情報が。このニュース、もう少し世間を騒がせることになりそうだ。

文:国沢光宏/写真:ベストカーWeb編集部

■台湾の鴻海が日産買収に興味津々!?

ホンハイが独自開発するBEVのモデルD

 ホンダと日産の提携話。興味深い情報が加わった。電気自動車生産に参入しようとしていた台湾の鴻海(ホンハイ)精密は日産の買収を画策していたという。

 鴻海の電気自動車事業のトップといえば、日産の社長になると言われていた関潤(せき・じゅん)氏。これだけ日産の株価下がると、居抜きで買収したくなるだろう。もちろん情報についての証拠無し。でも鴻海の買収など関われば納得出来るストーリーになっていく。

 今回の件、ホンダが日産を併合したり買収したりするんじゃなく「持ち株会社を作ってホンダも日産もそこにぶら下がる」というもの。この”防御策”なら日産の個別買収は難しくなる。

 また、ホンダが日産のケツモチをする必要だってない。日産の財政悪化により破綻したとしても、持ち株会社の一つの破綻という扱い。ホンダへの影響は最小限で済む。ちなみにホンダが日産を併合し背負おうとするなら責任は重い。

 とはいえホンダにとって迷惑な話であること間違いなし。だからこそ18日の株の動きを見ると、助かる日産は20%以上の爆上がり! 厳しい戦いになること明々白々のホンダが3%以上ダウンしている。ここで考えなくちゃならないのは、ホンダのメリットだ。

 我らが三部さんはメディアの直撃を受け、今回の話について否定をしなかった。まぁ常識的な経営戦略をしない三部さんなので、何を考えているか解らない。

 とはいえ、ホンダのメリット無しで引き受けることなどなかろう。御存知の通り日産は前回の経営破綻でも国が動き、同じく国の支配下にあるルノーに再建をゆだねた。ルノーは日産に資金を出し、カルロス・ゴーンという有能な経営者を送り込む。

 見事立ち直り、日産はルノーが投資した金額をはるかに超える株主配当を受け取ることになった。ルノーとフランス政府、完全に投資のモトを取っただけでなく巨額の収入を得ている。

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■キーになるのはホンダが得られるメリット

2024年3月に電動化やOSでの協業を発表した日産とホンダ

 今回ホンダが得るものってなんだろう? 受け入れ条件として、内田さん以下、経営陣の総入れ替えを提案者から提示された可能性はある。数年スパンになるだろうけれど、ゴーン氏ほど辣腕じゃなくても、実力のある経営者であれば日産を立て直せるかもしれない。

 同時進行系で電子プラットフォームなど、すでにホンダが日産と開発提携している内容を進めるにあたっての資金的なバックアップも必要になってくる。

 電子プラットフォームの開発に必要な費用は1000億とも2000億とも言われる。日産が約束通り半額出してくれないとホンダだって厳しい。経産省あたりが動き銀行などがバックについてくれ、日産との提携を飲めば日産に開発予算分の資金を供与してくれることになれば、ホンダだって助かる。

 ホンダからすると(日産との共同開発を決めた三部さん、と言い換えてもよい)、2~3年は日産に存在して欲しい。

 はまたま持ち株会社を立ち上げるにあたり、ホンダの出資額を日産より大きくしておくことで(常識的に考えるとホンダは日産の10倍の時価総額なので9対1でおかしくない)、日産が立ち直った時の”稼ぎ”を期待出来る。このあたりはルノーの時と同じだ。

 繰り返しになるが、おそらく何かホンダにとってのメリットは提示されていると思う。それさえ解れば、今回の件、全ての流れを納得して見られます。

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