やっぱりホンダはエンジンだよなあと心底嬉しくなったのが12月16日、栃木プルービンググランドで開催された、新型2Le:HEVを積んだ新型プレリュードプロトタイプと次世代1.5e:HEV搭載のヴェゼルの取材会。ホンダはもうエンジンをやめたと思っていたのに、実はやっています! と1.5Lと2Lの次世代ハイブリッドシステムを初公開したのだ。やっぱり一番の注目は新型プレリュードの走り! 昭和のデートカーのようにワクワクするクルマなのか、走る前からドキドキだ!
文:国沢光宏/写真:ホンダ、ベストカーWeb編集部
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■なんだエンジンちゃんと作ってたのね!
ホンダの三部敏宏さんは社長就任半年後、カーボンニュートラルへのアプローチに対し「Hondaはエンジンをやめることを選んだ」と発言している。実際、多くのメディアや関係者もホンダは電気自動車に開発の全パワーを投入すると認識した。
ホンダ三部敏宏社長の発言(ホンダホームページより)
しかし最近になって電気自動車の普及は踊り場を迎えている。そんな状況のなか、電気自動車への投資を始めたアメリカの大統領が「石油を掘って掘って掘りまくれ」というトランプさんになった。
ここにきて「ホンダ大丈夫か?」と言われ始めたのは周知の通り。すると突如「新しいハイブリッドを開発していたのでお披露目します!」。ハイブリッド技術だけの発表だと弱いと考えたんだろう。
クルマ好きなら誰もが注目している新型プレリュードとセットで発表し、しかも絵空事でないという証明をしたかったらしく試乗させるという。となればクルマメディアとしては大きく取り上げるしかあるまい!
実際、記事解禁の12月18日未明から多くの記事が出回っている。みなさんもひと通り目を通したことだろう。ベストカーとしては少しタイムラグを取り、深掘りしてみたい。
まず「エンジンの開発をやめた」と言う件だけれど、そんなことなかったようだ。今回披露した新しいハイブリッドの開発に着手したのは2年ほど前の2022年。三部社長の「やめた」は2021年だ。つまりやめてなかったということになる。
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■新型プレリュードプロトタイプは乗ってどうだった?
新世代ハイブリッドの面白さは、「楽しさ」と「燃費」と「実用性」「コスト」の4つを狙ったということ。相当欲張ってます(笑)。それぞれ紹介したい。まず「楽しさ」だけれど、乗ってびっくり!
ノーマルモードは普通のハイブリッドなのだけれど、新開発のホンダS+シフトの『S+』というモードを選ぶと、もはやハイブリッドだということを完全に忘れてしまう。一番近いのは、電気自動車ということを忘れるヒョンデのアイオニック5Nです。
ホンダの2モーターハイブリッドは、電気自動車と同じくモーターで直接駆動している。エンジンは後述する直結モードを除き、基本的に発電機として使われる。S+モードを選ぶと、変速ギアなどついていないのに、軽い変速ショックを出しながら加速していく。
変速ショックと同時に、エンジン回転数もクロスレシオのごとく変化する。さらにエンジン音をスピーカーで強調。良くできたバーチャル体験機だと思えばいい。
ハンドル握っていると、正しくクロスレシオのスポーツモデルに乗っている感じ。加えてこのパワーユニットと組み合わされる新型プレリュード、足回りはシビックタイプRだという。
ブレンボのブレーキや、ザックスのダンパーだ。S+モードでワインディングリードを模したハンドリング路を走らせると「なんじゃこりゃぁぁ~」というくらい面白い。エンジンと駆動軽が完全に切り離せるハイブリッドだからできる制御ですね。
御存知の通りバーチャルゴグルして3軸で動くシートに座ると、まるで自分が体験している気持ちになる。新型プレリュード+次期型ハイブリッドはバーチャルゴグルよりリアルな実像だし、3軸シートよりはるかに大きいGも出る。
アイオニック5Nに乗って始めて電気自動車の楽しさを認識したが、今回新型プレリュード+次世代ハイブリッドに乗り「ハイブリッドでスポーツモデルを作れるのね!」と嬉しくなった次第。
ちなみに「燃費」はエンジン効率をアップしたことで向上させたうえ、同時に発表した次世代ハイブリッド専用プラットホーム(こんなものも開発していた!)は100kg近く軽量化しているという。
現世代のハイブリッドだとトヨタに勝てていない実用燃費ながら、次世代ハイブリッド+プラットフォームなら勝るそうな。まぁトヨタも進化するだろうから、いい勝負になるかもしれない。ただ楽しさじゃホンダ優勢か?
3つ目の「実用性」だけれど、ホンダの2モーターは高速巡航時の燃費を稼ぐためエンジンで直接車軸を駆動する直結モードを持って居た。ただ高速巡航用のギア比なので、モーターホームなどトレーラーを引っ張って長い登り坂を走ると、モーターやインバーターなどが熱的に厳しくなり効率も落ちてしまう。
そこで次世代は100km/hくらいまでで使う登坂用の直結ギアも加えている。CR-VのようなSUVにも十分使えるようにした。幅広い車種に搭載できることだろう。
4つ目の「コスト」はホンダによれば大幅に低くなっているという。「だったら売り値を安くして欲しいんですけどね」と突っ込んだところ「コストダウンした分を他に回しています」。
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とにかくASC(アクティブサウンドコントロール)によってエンジンサウンドを増幅されてはいるものの、ヴォーンヴォーンと聴こえてきて昭和のクルマ好きからすれば「やっぱりホンダはエンジンだよな」と思わずつぶやいてしまったほど。
2025年末にアメリカで発売され、ヨーロッパでも2026年初頭の導入が決まっている。日本での発売時期は公式には2025年に発売予定とされており、価格に関してはシビックタイプRと同価格帯、500万~550万円前後と予想する。2025年1月10~1月12日に開催される東京オートサロンにてコンセプトモデルにエアロパーツを装着したカスタマイズモデルがプレリュードプロトタイプとして展示される予定。
試乗車はカモフラージュがされており、インパネも形があまりわからないようにカバーされていたが外観はすでに発表済みなので以下をどうぞ。
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