いすゞ自動車とUDトラックスはこのほど、アフリカ東部・ケニアの現地いすゞ販売網における、UDブランドの大型および中型トラックの販売開始を発表した。いすゞグループ企業における両ブランド取り扱いは初となる。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/UDトラックス、Isuzu East Africa
いすゞ販社がUD車も取り扱う初の市場
これは12月14日から、いすゞのグループ会社・いすゞイーストアフリカ(IEA)のケニア販売網において、UDブランドの大型トラック「クエスター」および中型トラック「クローナー」の販売が正式にスタートしたもの。
IEAでは、同国におけるUD車のディストリビューター契約を2024年3月にUDトラックスと締結、UD車の現地組立・販売・アフターサービスを行なう権利を取得しており、いすゞグループ初のいすゞ・UDの2ブランド取り扱い企業となった。
UDトラックスは、旧日産ディーゼル時代からケニア市場に進出、現地資本の自動車販売会社を通じて、大型・中型トラックの現地組立および販売を行なってきた経緯がある。2021年に親会社がボルボトラックスからいすゞへと変わったが、同国での販売・サービス体制をいすゞグループで一体化することで、大型トラックを主力とするUDブランド車のプレゼンス強化を目指す考えだ。
クエスターとクローナーはこれまでと同様、UDタイ工場で生産されたセミノックダウン(SKD)キットを輸入、現地企業に組立を委託するスタイルを当面継続する。生産モデルの排ガス規制適合レベルはEuro-V(5)で、同国で普及しているEuro-II(2)相当に対して大幅にクリーンなエミッション性能を有する。
クエスターは、車両総重量(GVW)21トン~連結総重量(GCW)80トンまでのトラック/トラクタモデル、クローナーはGVW10~18トンまでのトラックモデルを展開している。特にクエスターは、IEAのいすゞブランド車には未設定の車格をカバーしているため、ラインナップ面でも強力なシナジー効果がありそうだ。
需要拡大が期待されるケニアでシナジー活用
IEAでは現在、ピックアップトラック「D-MAX」およびSUV「Mu-X」、小型トラック「Nシリーズ(日本名エルフ)」、中・大型トラック「Fシリーズ(同フォワード)」、大型セミトラクタ「GXZ」(海外専用モデル)を展開、首都ナイロビにあるIEA生産拠点でコンプリートKDによる現地組立が行なれている。
ケニアの新車市場には、日本はもとより欧州・インド・韓国・中国などのメーカーが進出しているが、日本車は高い人気があり(日本で使われた中古車も大量に輸入されている)、いすゞは商用車分野でトップシェアを有しているとされる。そのIEAの販売サービス網と、UDブランド車を含めた幅広いラインナップは、今後の同国トラック市場での競争を優位に導いていく可能性があるだろう。
12月14日には、ケニアで2番目に大きい都市・モンバサでUDブランド車を扱う新しいサービスセンターもオープンし、IEAのリタ・カヴァシェ取締役社長やUDトラックスMEENA部門のムラド・ヘドナMDとともに、日本からもいすゞ自動車の池本哲也取締役専務執行役員(営業部門EVP)、UDトラックスの伊藤公一代表取締役会長が開所式に出席した。
市場ボリュームはまだまだ大きくないものの、東部アフリカでは最大の経済規模をもち、自動車産業の育成が進められているケニアは、将来の生産拠点となりうるポテンシャルを秘めている。いすゞ・UDのトラック併売は、企業戦略面でも布石のひとつになるのかもしれない。
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