都会派クロスオーバーSUVのリーダー的存在として人気が高い、トヨタ「ハリアー」。2023年度のSUV登録車台数ランキングではダントツの1位を獲得しており、名実ともに、国内SUVナンバーワンの座を手に入れている。

 ちょうどいいサイズ感とちょうどいい上質感、そして申し分ない性能。すべてが日本人にとって最適化されたハリアーが人気車となるのは誰もがうなずくところであろうが、実はこの人気には、現行ハリアーの驚異の残価率(新車価格に対する残価の割合)も影響しているという。

文:吉川賢一/写真:TOYOTA

3年後の残価率は85.5%!! 最人気グレードは、ガソリン「G」

 現行型のハリアーがデビューしたのは2020年6月のこと。2022年10月にはビッグマイナーチェンジが行われ、内装改良やPHEVのZグレード追加など、商品力維持が行われた。一時期は、1年から1年半程にまで伸びた納期も、現在(2024年5月初旬)は、3~5ヶ月程度にまで短縮されているという。

 冒頭で触れたように、現行型ハリアーは残価率が異常なほど高い。ハリアーのグレード構成は、2.0Lガソリンとハイブリッドそれぞれに、S、G(Gレザーパッケージは廃止)、Z、Zレザーパッケージがあり、そのそれぞれに、2WDと4WDの仕様がある。2WDガソリン仕様は312万円~433万円、2WDハイブリッド仕様は371万円~492万円で、4WDは、2WDの価格にそれぞれ約20万円のプラスだ。2022年9月に追加されたPHEVモデルは620万円となる。

 多様なグレードがあるなかで、もっとも残価率が高いのは2.0Lガソリン2WDのGグレード(税込352万円)だ。ベストカー本誌の情報によると、2.0Lガソリン車のパールホワイトの場合、3年後で85.5%と、一般的な中古SUVの残価率をおよそ20%近くも上回る。

2020年6月にデビューした80系ハリアー。4代目となる現行車には、ガソリンエンジン車、ハイブリッド車、そしてPHEVの、3つのパワートレインが用意されている

 某中古車買い取り専門店の担当者によると、この現行型ハリアーのように、特定車種の特定グレードのみが高めの残価率となるのには、海外からの需要が大きく影響しているという。中古車市場での流通量も、このガソリン2WDのGが(ハリアー全グレードのなかで)もっとも多く、買い取り店側としては、安定して良質の個体を仕入れやすく、中古車オークションにおいて高値で売却できることから、残価率は高めに設定ができるそうだ。

ガソリン2WDのGは、欲しい装備が充実した中間グレード。この仕様がもっとも残価率がいいグレードだという
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ガソリン 2WDのGは、マレーシアで需要が高い

 前出の担当者によると、中古車オークションで落札されたハリアーは、東南アジアの中心に位置するマレーシアへ多く輸出されていくという。マレーシアは、産油国であることからガソリンが安価であり、そのためかハイブリッド車の需要が少ないそう。また年間平均気温が26~27度と温暖で雪が降らないため、4WDも需要がないという。そのため、欲しい装備が充実した中間グレードのガソリン車 2WDのGグレードが人気となっており、それが、日本のハリアーの高い残価率に繋がっているようだ。

Gグレードは、革張りのインテリアや大型センターディスプレイを標準装備しており、高級感と先進性を兼ね備えたインテリアだ
現行ハリアーのモデリスタエアロ装着車。ド派手なエアロパーツがついていたほうが、マレーシアではウケがいいそうで、プラス査定になりやすいという

高い残価率は4年落ち(59ヵ月まで)まで!!

 ただしマレーシアには、初度登録月から数えて、12か月~59か月までという中古車の輸入規制があるため、たとえば、初度登録から59か月目はOKだが、手続きが遅れて60か月となると輸出ができない、ということになる。高い残価率は4年落ち(59ヵ月まで)という期限付きなのだ。

 新車で購入して3年弱(35ヵ月未満)乗ったあと、購入価格の85%の価格で下取りに出すことができるという、鬼コスパクルマの現行ハリアー。ちなみに、アルファードやランドクルーザー、ジムニーシエラも残価率の高いクルマとして有名だ。デザインや走りがよく、使い勝手も申し分なく、そのうえリセールも期待できる現行ハリアーは、ミドルクラスSUVを買うなら、絶対に検討してほしいクルマだ。

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