三重の松阪自動車工業が日野プロフィアFWをベースに製作した大型平ボディは、強さ、使いやすさ、そして見栄えの良さの三拍子が揃った同社らしいもの。3台同時受注したうちの最初の1台が完成したとのことで、さっそくレポートに行ってきた。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2024年3月発売「フルロード」第52号より

大型プレス機などを運びます!

松阪自動車工業が製作した大型平ボディ。ユーザーの誠栄商事は大型プレス機をはじめとする工作機械の運搬据付に強みを持つ

 東海/近畿地方を中心に、中大型トラックの荷台製造を行なっている松阪自動車工業(三重県松阪市)。古くから林業が盛んな土地柄、過酷な現場で使われる材木運搬車の製造実績が豊富で、そのノウハウを活かした「強いボディ」を持ち味とする。

 得意ジャンルは特殊仕様の平ボディ、材木運搬車、チップ運搬車などで、職人のハンドメイドで製作される同社のボディは、耐久性はもちろん、使いやすさや見栄えの良さにも定評がある。今回紹介する平ボディも、その三拍子が揃った同社らしい大型平ボディだ。

 ユーザーの誠栄産業は愛知県小牧市に本社を置く物流会社。系列企業の誠栄物流商事とともにSEIEIグループとしてさまざまな物流ニーズに応えており、とりわけ大型プレス機をはじめとする工作機械の運搬/据付に強みを持つ。

 今回紹介する大型平ボディは主力の工作機械輸送に導入されるもので、1991年頃に1号車が完成。コンセプトは「できる限り低く、かつ強く」で、基本設計を変えることなく、今も細部のアップデートを続けている。

床に使っているウリン材とは?

ベース車両は日野プロフィアFW系で車両寸法は全長11990mm×全幅2490mm×全高3290mmだ

 ベース車両は日野プロフィアFW系4軸低床8×4総輪エアサスシャシー(GVW25トン級)で、キャブ仕様はハイキャブ/標準ルーフ/フルキャブとなっている。

 荷台を支える根太構造は縦根太、横根太ともに低床仕様の角パイプ材で、どちらもサビ対策として亜鉛メッキ加工された素材を使っている。

 床は亜鉛メッキ加工された鉄板の上にウリン材を重ねる特殊仕様。ウリン材はウッドデッキや桟橋に用いられる東南アジア産の木材で、突出した耐久性/耐水性によりアピトン材を遥かに上回る強度/耐久性を発揮。

 アピトン材を2枚重ねるよりも軽量かつ板厚を薄くできるのも特徴で、SEIEIグループでは2008年に標準化しているという。ちなみに初期のウリン材搭載車は現在も稼働中で、表面に塗布しているコーティング剤の効果も相まって、今まで一度も床板の張替えをしていないという。

荷台仕様はユーザー専用!

荷台の仕様はSEIEIグループ専用設計。荷台寸法は内法長9350mm×内法幅2380mmで床面地上高は1020mm。最大積載量は13800kg(計算値)

 アルミブロック製アオリは7方開で、側面10カ所、後面4カ所にワイヤー穴を装備。フックの配置はSEIEIグループ仕様で、ワイヤー穴からワイヤーをフックに引っ掛ける際、荷台の角でワイヤーが擦れるのを防ぐため、荷台の角にステン丸棒を溶接するなど、かなり手の込んだつくりになっている。

 後部アオリは脱着式で、今回のアップデートで脱着用のハンドルの形状を最適化。これまではグローブを付けた状態だとハンドルが操作しづらかったが、ハンドルを手前に折り曲げる加工を施すことで、グローブを付けたままでも開閉できるようになり、作業性が向上した。

 鳥居は鉄製アングル材の骨組みに背面3パネル、側面2パネルのアルミ縞板製キー付き防水収納を埋め込んだもの。鳥居とキャブの天井部に備わる荷台シート用のラック、右ホイールベース間のケースも、職人がアルミ縞板を加工して製作したワンオフ品だ。

 このほか、荷台前後には電源取り出し用のコンセントを搭載。夜間にアオリを切って(開いて)幅広い荷物を運ぶ際、制限灯(赤いランプ)を点灯させる際に使うという。

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