今回は早稲田大の一般選抜の合格者が多い学校をまとめた、「早稲田大に強い学校ランク」をお届けする。
最難関私大の早大の志願者減が止まらない。2021年度の一般選抜で1972年以来維持してきた10万人台を割り込み、2024年度は8万9420人で9万人台を下回った。かつて私大の一般選抜志願者数ランキングの上位が定位置だった早大も24年度は6位だった。予備学校関係者は言う。
「志願者減の理由は明らかで、21年度から共通テストと大学独自の記述試験を課す国立型の入試方式を順次導入してきたからです。東大など難関国立大志望者を取り込みたいのでしょう」
3教科で入試に臨みたい私大専願者が抜ければ、志願者の減少は自明。受験料収入より優秀な学生の獲得を重視してのことなのだろう。
それでは、早大の高校別合格者数ランキングを見ていこう。私大最難関大らしく、1位は東大合格者ランキングで43年連続トップを続ける開成。昨年は15年続けてきたトップの座を渋谷教育学園幕張に譲ったが、24年度は合格者が63人増えたこともあり、1位に返り咲いた。
開成の特徴は総合格者に対する現役生の割合が意外に低いこと。24年度は60・4%で、総合格者数100人以上の28校の中で、埼玉の浦和・県立(42・3%)、東京の西(51・9%)、麻布(56・3%)に次ぐ低さなのだ。
「東大志向が強い開成は、現役時に早大を受ける生徒が少ないことが要因」(予備校関係者)
ちなみに、開成と並んで東大合格実績が高い筑波大附駒場(東京)も、同様の要因から現役占有率は61・0%と低い。
ランキングに戻ろう。2位の日比谷は合格者が20人増えて前年の4位からランクアップ。対照的に、前出の渋谷教育学園幕張は合格者が24人減って、3位に順位を下げている。横浜翠嵐も41人減で前年の3位から9位になった。
合格者が増加した学校に注目すると、最も増えたのは前出の開成で、次位は総合格者135人の開智(埼玉)で43人増。開智に次いで増えているのは、前年から39人増で50人となった南多摩(東京)。6年間一貫教育を行う都立の中等教育学校だ。ランキング中の学校では、市川が30人増で14位から6位に順位を上げ、栄東も22人増で17位から8位になっている。
主な学部の高校別合格者数を見ると、政治経済のベスト3は、開成57人、聖光学院53人、渋谷教育学園幕張44人。法は開成37人、聖光学院31人、日比谷28人。商は浅野(神奈川)が20人で、栄東、開智、広尾学園(東京)、湘南が各14人。基幹、先進、創造といった3つの理工学部の合計は、開成116人、渋谷教育学園幕張84人、聖光学院70人。比較的設置年度が新しい学部では、国際教養が頌栄女子学院(東京)13人、市川11人、日比谷7人。スポーツ科が栄東22人、西8人、川越東(埼玉)7人などとなっている。(大学通信・井沢秀)
井沢秀
いざわ・しげる 大学通信情報調査・編集部部長。1964年2月6日、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、受験情報・分析を主力事業とする大学通信入社。大学の入り口(入試)から出口(就職)まで、情報を収集し発信中。中高・大学受験の案内書・情報誌を編集するほか、新聞社系週刊誌、経済誌などへの情報提供と記事執筆を行う。
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