▼家庭裁判所 離婚や親権、相続など家庭内の紛争のほか、非行を犯した少年事件を専門に取り扱う裁判所。調停や審判といった非公開手続きを通じ、法律判断だけでなく個々の事情に応じた解決を図る目的で1949年に設けられた。全国50カ所の家裁に加え、支部が203カ所、家事事件だけ扱う出張所が77カ所ある。裁判官のほか専門職の家裁調査官が置かれている。

親権は財産管理権と、子どもを監督して教育する「監護」する権利を含む。このうち監護を巡る審判や調停の件数は近年高い水準が続いている。最高裁によると、子どもの引き渡しや養育費を求める訴え、監護者の指定といった申し立ての件数は2022年に4万4163件となり、12年(4万244件)からの10年で1割ほど増加。平均審理期間は8.5カ月と、3.3カ月長くなった。

審理の長期化の背景には、親子の面会交流の設定など丁寧な手続きが必要な事案が増えたことや職員不足などがある。結論までに時間がかかれば、子どもへの心理的な負担も懸念される。改正法施行に伴って、家裁に持ち込まれる紛争は増加も予想され、ウェブ会議の活用など審理の迅速化や家裁の体制強化が不可欠となる。

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