拡大コピーした記念入場券(右)と台紙を持つ県立奈良高3年の海辺亮人さん。企画とデザインを手掛けた=奈良市で2024年4月9日午後0時30分、川畑岳志撮影

 県立奈良高校(奈良市朱雀2)の創立100周年を祝い、同校の生徒が最寄りの近鉄京都線「高の原駅」の記念入場券を企画・デザインした。1000枚の限定販売が3、4月に計2回あり、いずれも2日間で完売。同校の校風「自主創造」の言葉通りの取り組みで、卒業生ら地元の人たちの間で大人気になっている。

 企画したのは、同校3年で鉄道愛好会に所属する海辺亮人(あきと)さん(17)。幼いころから電車が好きで、車体の写真を撮る以外にも、電車の切符を集めるのを趣味とする「収集鉄」だ。小学校低学年のころから集めてきた自慢の切符コレクションは約1000枚にも上り、高の原駅が開業した日に発券された切符もあるという。

 1923年に創立した奈良高は2024年で100周年を迎える。記念イベントが次々に開かれる中で「自分なりに協力したい」と、記念入場券の制作を自らイベント担当の教師に提案。教師が近鉄に相談し、実現した。

購入者に記念入場券を手渡しする県立奈良高3年の海辺亮人さん(左から3人目)=奈良市の近鉄高の原駅で2024年4月9日午後0時53分、川畑岳志撮影

 記念入場券は券本体と台紙のセット。海辺さんはパソコンのフリーソフトを使って台紙のデザインを自作した。奈良高100年の歴史を振り返ることができるよう、年表や歴代の校舎の写真、校風を表す「自主創造」という言葉をあしらった。

 券本体には校章を入れた。自分のコレクションにある別の記念入場券を参考に、字の形や大きさなどを工夫したという。

 追加販売が始まった9日、海辺さんは鉄道愛好会のメンバー6人らとともに高の原駅で記念切符を手売りした。販売開始前から駅の販売ブースの前には、同校の卒業生や生徒の保護者らが列を作った。この春に同校を卒業した大阪公立大工学部1年の永井陽斗さん(18)も購入。「1回目の時に買えなかったので入手できてうれしい。大事に飾りたい」と笑顔だった。

 海辺さんは「こんなに売れるとは思わなかった。記念入場券を楽しかった高校時代を思い出すきっかけにしてくれたら」と話した。【川畑岳志】

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