5月に入り最高気温が30℃を超える日も出てくるなど、これから暑さが本格化する中、熱中症予防も含めての早めの暑さ対策が必要だ。一方で気になるのが電気代で、電力会社では5月の使用分から大幅な値上げを発表している。暑さを効果的にしのぐ方法としてエアコンにスポットを当て、その節電術を空調のプロに聞いた。
エアコン省エネ術での誤解とは
5月から政府が負担軽減策として支給している補助金が縮小したことなどから、中国電力管内では、標準的な使用量の家庭で一月あたり514円値上がりする。
この記事の画像(14枚)家計への負担が増える中、これからの季節に欠かせないエアコンの賢い使い方を大手空調メーカー・ダイキンに聞いた。
ダイキンは今回、エアコンの省エネで誤解されやすい4つのケースを検証した。
(検証1)
風量設定。「弱」と「自動」にした場合、どちらが節電に効果的なのか?
ダイキン 広報グループ・重政周之さん:
風量が弱だと、なかなか部屋の中が涼しくならない。時間がかかる分だけ消費電力量がかかってしまう。風量が自動の場合だと、その時の室温に合わせて風量を自動で調節してくれるので、効率的に部屋の中が涼しくなる
正解は「自動」。最初に設定温度まで冷やし、その後の運転が緩やかになることから、冷たい空気を少しずつ出し続ける「弱」よりも「自動」の方が消費電力量を抑えることができ、節約につながるという。今回の検証の条件では、1カ月換算で990円もの差が出るとしている。
(検証2)
風向きの設定を「ななめ下」と「水平」にした場合、節電に効果的なのはどちらか?
ダイキン 広報グループ・重政周之さん:
天井の方に熱い空気が溜まって、床の方に冷たい空気が溜まる状態になっている中で、天井側に暖かい空気が溜まっていると、エアコンはまだこの部屋は暖かいと判断して運転し続けてしまうことがあります
正解は「水平」。暖かい空気は高い場所に溜まりやすく、エアコン内部にあるセンサーが、室内が暖かいと判断して冷気を出し続けてしまうため、冷気を水平に高い場所へ出した方が効率的に部屋の温度が下がり、電気代を抑えることができるとしている。
検証では、風向きが「水平」の方が、1か月換算で約930円安くなるという結果が出ている。
(検証3)
設定温度を「1℃下げる」方法と、風量「強」で運転する方法では、どちらが節電に効果的か?
ダイキン 広報グループ・重政周之さん:
設定温度を下げて室外の圧縮機に負担をかけるより、風量を上げて室内機のファンを回すモーターに頑張ってもらう方が消費電力は抑えられます
節電効果があるのは、「風量を強くする」だった。エアコンで最も電力を消費するのは室外機の圧縮機で、設定温度を下げると圧縮機に大きな負担がかかり、電力消費につながってしまう。
一方で、風量はエアコン内部のモーターで管理されており、モーターの方が消費電力が少ないため、節電につながるとしている。
検証では、風量を「強」にした運転の方が「設定温度-1℃」の運転より1カ月570円お得になるという結果となった。
SNSで話題の「節約術」の効果は?
そしてSNSで話題となっている「噂」についての検証。室外機に濡れタオルをかけると節電につながるというもので、これを検証したところ「逆効果」であることが判明した。
室外機には、日よけをしたり、打ち水をしたりすることが効果的だとしている。
熱中症予防へ タイマーや継続運転の使い分けを
5月も下旬に入り、最高気温が30℃を超える日も出ており、暑さ対策がより求められる中、ダイキンの重政さんは、タイマーの活用や継続運転による室温の適切な管理を呼びかけている。
ダイキン 広報グループ・重政周之さん:
部屋の中の温度は、徐々に上がっていってしまう。そうなると少しずつ熱中症のリスクが高まっていくため、タイマーを使う日、つけっぱなしにしておく日など、運転を使い分けていただくことも考えに入れてほしい
気象庁の季節予報では、2024年の夏は全国的に平年よりも気温が高い傾向になると予想され、猛暑への警戒が必要だ。電気代の値上げで家計への負担が増える中、暑さを乗り切るためにも賢いエアコンの使い方が重要となる。
(TSKさんいん中央テレビ)
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