公立高校入試の追試対象に「月経(生理)による体調不良」が加わったが、民間の調査で女子中高生の8割が「知らない」と回答した
写真一覧

 公立高校入試の追試対象に「月経(生理)による体調不良」が加わり、文部科学省は昨年、全国の都道府県などに通知した。一方、民間企業の調査では女子中高生の8割が通知について「知らない」と回答し、認知度の低さが浮かび上がる。

「コントロール難しい人も」

 調査は女性の健康情報サービス「ルナルナ」が今年4月12~22日、中高生を含む女性1938人を対象に実施した。

 追試は、病気や事故などで入試を受けられなくなった受験生に別途実施される試験。文科省は2023年12月、生理による体調不良で公立高校の入試を欠席した場合、「追試は可能」とする通知を出した。

 調査では、中学生の回答者270人のうち、通知を「知っている」と答えたのは15%。高校生242人では23%だった。「知らない」は中学生で85%、高校生で77%を占めた。

 中学生~大学生の子どもを持つ母親246人も同様の傾向で、「知っている」は18%、「知らない」が82%だった。

 生理による追試が必要か尋ねたところ、「必要な制度だと思った」と回答したのは、中学生79%▽高校生87%▽母親76%。その理由では「生理が重く、コントロールが難しい人もいる」が最多だった。母親の間では半数近くが「このような通知が出ることで、生理に対する理解が深まると思った」と答えており、理解が広がることへの期待が高いことも分かった。

 一方、「特に必要な制度だと思わなかった」と回答した人の理由では「他の体調不良では考慮されないこともあるので、不公平と感じる」が最多で、「利用条件があり実際に活用するのは難しい」などが続いた。

「トイレに行ける時間を作って」

 自由回答では、受験の際に「トイレに行ける時間をこまめに作ってほしい」「膝掛けの持ち込みを許可してほしい」など通常の試験会場でも生理に対し理解や配慮を求める声が相次いだ。

 調査の担当者は「追試については『必要だと思う』『自分が受験する際に利用したい』という声が多く上がりました。受験生本人や親だけでなく、周囲の人たちが正しく生理を理解し、誰もが安心して受験に臨める環境作りに調査結果が役立ってほしい」と期待した。【宮川佐知子】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。