雨の日が増えるこれからの季節に心配なのが豪雨災害です。

災害を防ぐのに活躍するのが水門ですが、その開閉作業にあたる操作員のリスクや負担を減らす実証実験が福岡県内で行われています。

九州各地で毎年のように発生する豪雨による災害。

去年7月、福岡県うきは市では山崩れも発生しました。

土砂が川をせき止め、下流域の水位はめまぐるしく変化。

鉄砲水が発生するリスクもありました。

そのうきは市で行われているのが、川の水位を調整する「水門」の開閉を自動化する実証実験です。

◆オートマイズ・ラボ 板橋航 リーダー
「今から右側の門を閉めていきます」

Q.(スマホ画面を)押すだけなんですね?
◆オートマイズ・ラボ 板橋航 リーダー
「はい、押すだけです」

スマホの画面をタッチすると、川の水位を調節する水門の扉が降り始め、約20分で水の流れを遮断しました。

この装置を開発したのは、福岡市に本社を置くオートマイズ・ラボです。

この水門の開閉を自動化する装置は、大がかりな改造は不要で、古い水門にも「後付け」で設置できるのが大きな特徴です。

◆オートマイズ・ラボ 藤山幸二郎 社長
「水門は手で動かすギアでハンドルを回して、水門を上げ下げするのが基本構造ですが、そのハンドルを後付けした機械で回すことができる。例えばスイッチを押すと、この機械が回ってハンドルが動く」

この装置を設置する一番のメリットは、水門を操作する人のリスクや負担の軽減です。

2021年8月には、佐賀県で水門の操作を委託されていた75歳の男性が作業中の事故で亡くなりました。

また人の手でレバーを回すと、水門は1回転させても数ミリしか動きませんが、装置に指示を出せば、このレバーを回す大変な作業を代わりに行ってくれます。

◆うきは市・建設課 雨郡智也 課長
「うきは市内の水があふれてくると、(水位は)急激に上がります。電動化されたことに伴って(操作員の)危険性が無くなったことは大きなメリット」

この画期的なシステム、福岡県内ではあわせて6自治体で導入に向けた実証実験が進んでいます。

◆オートマイズ・ラボ 藤山幸二郎 社長
「課題としてはたくさんのタイプ、種類がある水門に、どう最適な自動化装置をフィットさせていくかが課題です」

◆販売代理店 双日九州DX推進課 中村拓人 課長
「多くの自治体や民間企業に導入し、防災や省人化・効率化に貢献していきたい」

福岡県も、この開閉装置の普及に前向きな姿勢を示しています。

◆福岡県農林水産部 徳田輝光 次長
「ゲリラ豪雨が近づくと危険な場合もあるし、(水門の開閉を)自動化する意味がある。導入を推進しているところで、県としても支援していきたい」

福岡のスタートアップ企業が開発した水門の開閉装置。

操作員の「力仕事」と「リスク」を同時に減らす、画期的なシステムとして注目され始めています。

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