小林製薬の紅麹サプリをめぐる問題を受け、制度の在り方が見直されていた「機能性表示食品」。健康被害の国への報告を事業者へ義務化するなど、政府が今後の対応を取りまとめました。
【林芳正官房長官】「紅麹関連製品による、今般の健康被害事案は、食の安全や機能性表示食品の信頼に関わる重大な問題であります。有害な食品の流通を止めるための措置が迅速に講じられることが、何よりも重要」
5月31日、政府が取りまとめた機能性表示食品制度に関する今後の対応。柱となったのは、「健康被害の報告の義務化」です。
小林製薬の紅麹サプリによる健康被害が明らかになったのはことし3月。しかし、小林製薬はこの2カ月前には健康被害を把握していて、国や大阪市への報告の遅れが指摘されていました。
この間にも健康被害を訴える声は増え続け、5人が死亡、285人が入院、相談件数は延べ13万件ほどとなっています。
■健康被害の情報を速やかに国や自治体に情報提供することを義務付け
これらを受け、再発防止策として政府は…
【武見敬三厚労相】「機能性表示食品にかかる健康被害と疑われる情報を把握した営業者の、都道府県知事等への情報提供を義務化いたします」
機能性表示食品を製造・販売する事業者に対して、因果関係が不明でも健康被害の情報を速やかに国や自治体に情報提供することを義務付けます。
違反した場合には、機能性表示を行わないよう命令することや、営業禁止などの行政措置が可能になります。
【自見英子消費者相】「この対応方針に即して、より良い機能性表示食品制度の実現に向けて全力を尽くしていきたいと考えています」
他にも、医薬品の製造段階で品質を管理する基準「GMP(ジーエムピー)」について、政府は信頼性を高めるため、サプリメント形状の機能性表示食品に関してもこの基準で管理することを義務化します。
政府は今後も必要な制度改正を行うとしています。
■「機能性表示食品」消費者が安全だと思ってしまうことへの対策ができていないと指摘も
機能性表示食品で健康被害があった場合の報告義務化、それから製造過程においてチェックするということです。これで対策は十分と言えるのでしょうか?
【京都大学大学院 藤井聡教授】「一歩前進したのは間違いないと思いますが、本来こういう議論は機能性表示食品の制度ができた時にやっておくべきものであります。あともう一つ、この機能性表示食品というものは、『政府のお墨付き』だと消費者が理解するわけで、安全であるはずだと思ってしまう。ところが政府はその安全性については一切関知しないという立場を取っている。ここに今回メスが入ったかというと、全く入ってないと言わざるを得ないのではないかと思います」
【関西テレビ 神崎報道デスク】「今回の問題は、製造過程、工場での衛生管理とか品質管理の問題だと思います。その再発防止策として、今回は品質基準を医薬品並みの厳しい基準にして、製造、保管、流通に関してきっちりと見ていくという形にハードルを上げた。これはあくまでも機能性表示食品のサプリメントに関してですが、同様の問題が二度と起きないように手は打っていると思います」
機能性表示食品の数は減るのでしょうか?
【関西テレビ 神崎報道デスク】「この安全基準、品質基準を守れないところは製造することができないので、もしかすると今よりもちょっと絞られてくるかもしれません」
食の安全性が高まるという側面はあるんですね?
【関西テレビ 神崎報道デスク】「サプリに関しては基準をクリアしないと販売できなくなるので、安全性は高まると思います」
私たちの口に入るものですから、安全性をしっかり確保してほしいと思います。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年5月31日放送)
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