宇都宮市と芳賀町でつくる次世代型路面電車(LRT)の効果などについて検証する「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」(委員長・森本章倫早大教授)が3日、宇都宮市で開かれ、昨年8月の開業後に市と町が実施したLRT沿線住民らへのアンケート調査で、開業前と比較し沿線住民の外出率が増加したことなどが報告された。新型コロナウイルス感染拡大による外出制限の解除による効果もあるとみられ、今後も継続して調査や分析を進めるとした。
委員会には、有識者や行政関係者の委員ら25人が出席した。宇都宮市と芳賀町が昨年度、LRTの沿線住民ら4653世帯を対象に行ったアンケート調査(回収率28%)の結果、LRT沿線内・外で、開業前に75・7%だった外出率が、約5・7ポイント増の81・4%となった。
また、沿線内における通院・介護、保育園・幼稚園などの送迎における負担感が開業前と比較し減少した上、自転車や鉄道など通勤や通学での交通手段別の満足度がいずれも増加したことも明らかになった。
4月1日にはダイヤ改正が行われ、快速電車やピーク時間帯の増便などが導入された。LRT利用者1305人を対象に昨年実施されたアンケート調査(回収率19%)では、通学時の満足度について、「やや満足」「満足」としたLRTの通学利用者が、開業前の18・3%に対し、開業後は約58ポイント増の76・1%だった。通勤環境の満足度についても、「やや満足」「満足」とした通勤利用者が、開業前の33・8%に対し、約19ポイント増の52・9%だった。いずれも「運行本数」や「移動時間」、「快適性」などが満足度の変化要因として挙げられた。
委員会によると、5月8~17日の間で、1編成当たりの平均乗車人数は、6時台後半~7時台の各駅停車が約130人だったのに対し、快速(6時58分発と7時46分発)は約1・3~4倍の約170~180人となった。
また、アンケート調査に回答したLRT利用者のうち25・1%が、開業前に使用していた交通手段として「自家用車」を挙げており、これにより平日1日当たり少なくとも約3800台の自動車が、交通手段としてLRTに転換されたと試算されることも報告された。
委員長の森本教授は「利用者の意識・実態調査を行った結果、LRTによるさまざまな効果があったとわかった。今後も定量的な調査を継続し、西側延伸に向け弾みをつけたい」と述べた。
委員会は、開業1周年を迎える8月25日に、車両基地見学や飲食ブースの展開など記念イベントを実施することも報告した。9月にも事後イベントを行うとしている。【今里茉莉奈】
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