愛媛県松山市の小学校で今年度、水泳授業を市内のスイミングスクールに委託する取り組みが始まりました。なぜ民間委託することになったのか取材しました。

内木敦也リポート:
「子供たちが元気に水泳授業を受けていますが、実はここ、学校のプールではなく民間のスイミングスクールなんです」

松山市立番町小学校の5年生が水泳の授業を受けているのは、松山市宮西にあるスイミングスクール。実は番町小学校では今シーズン体育の水泳の授業を、民間のスイミングスクール「フィッタ」に委託することになったのです。なぜ、始まったのか、それには各学校が頭を悩ませる、ある理由がありました。実際に番町小学校のプールを見せてもらいました。

橋本利恵:
「この辺りとか、ところどころヒビが入っている状態ですね」

その時々で必要な修理をしながらも、52年前に作られたプールは老朽化が進んでいました。さらに児童が待機するプールテントも同様です。

橋本利恵:
「屋根が大きく破れてますね。劣化して破れてしまっている状態ですね」

松山市教育委員会によると小学校などプール施設の耐用年数は60年。しかし市内の小中学校のプールは更新の時期が迫る50年ほど前に造られたものが多いといいます。

松山市教育委員会事務局保健体育課・奥村康男主幹:
「色んな学校老朽化しているところがありまして、それを更新していくのか、ほかの学校と共同利用したりとか民間施設の活用も色々検討する中で、番町小学校の水泳の授業について、フィッタ松山さんに委託する実証事業として、実施することになりました」

松山市教育委員会によると、民間に委託することによって、プールを新たに造り直して維持管理するよりも、費用を抑えられる見込みだといいます。

『老朽化』を理由に検討された民間委託ですが、水泳授業は教員たちにとっても負担が大きかったといいます。

松山市立番町小学校・仲公一校長:
「例えばプールの見回り、そして水温、塩素濃度の確認。機械室という所があるんですが、そちらでもいろんな作業があるんで、朝20分程度は管理面の負担があります」

松山市教育委員会事務局保健体育課・奥村康男主幹:
「番町小学校でプールの維持管理をする必要がなくなった、先生の負担が少し軽くなったんじゃなかろうかということ」

6日の授業では、58人の児童に対して教員が3人、監視員なども含めスポーツクラブのスタッフが8人と安全面への配慮も。実技はインストラクターが中心となって教えますが、全体の指示・評価などは教員が行います。児童たちも学校のプールとの違いを感じたようです。

児童:
「色々コースがあって学校は4つだけだけど、5個あるからぶつからないし」

児童:
「こっちの方が広いし、沢山泳げるから好きです」

松山市教育委員会事務局保健体育課・奥村康男主幹:
「インストラクターが補助員でついてくれますので、いろんな方の目で子供たちの水泳の授業を進めていけるということが、大きなメリットとなるのではないかと思います」

一方で、小学校からプールまではバスでの移動を伴うため、その影響を今後検討していく必要があるといいます。

松山市教育委員会事務局保健体育課・奥村康男主幹:
「子供たちがバスで移動するので、市内の交通事情によってはバスが遅れる可能性があったり、子供たちがバスに乗ったり降りたりする時間を考えないといけない」

松山市教育委員会では、10月までの実証期間を経て、来年度、他の学校にも広げられないか検討するということです。

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