展示・保管される軽便鉄道の機関車(埼玉県鶴ケ島市提供)=同市のガーデンパークで2024年5月27日

 埼玉県鶴ケ島市と鉄道模型メーカー「関水金属」(本社・東京都新宿区)が官民共同で整備を進めてきた公園「ガーデンパーク」が同市鶴ケ岡に完成し、9日にオープンする。公園内には通常より線路幅が狭い「軽便鉄道」の車両を保管・展示し、実際に機関車を走らせることができる軌道も設けた。市の新しい観光拠点として期待を集めている。【仲村隆】

 ガーデンパークは広さ約7400平方メートル。敷地内に関水金属の新工場と市の児童公園を一体的に整備し、草花の自然な姿を生かした英国風庭園で周囲を囲んだ。

 工場の外周620メートルには、幅762ミリと同610ミリの2種類の軌道からなる「三線軌条(デュアルゲージ)」と呼ばれる線路を非電化の単線で敷いた。また、鉄道車両を収容する機関庫も設けた。

 展示・保管する車両は機関車、客車など約10両を予定。西武鉄道山口線で狭山丘陵を走っていた蒸気機関車や、ベルギー製で台湾のサトウキビ運搬に使われていた蒸気機関車、神奈川県内の鉄鋼工場で走っていたディーゼル機関車などがお目見えする予定だ。

 市と関水金属は、2019年10月に結んだ包括連携協定に基づき、「まちづくりの新たな拠点」として公園の共同整備に合意。市が5000万円、同社が1億4500万円を負担して、22年度から整備を進めてきた。

公園内には関水金属の新工場(右)と機関車を保管するための機関庫がある=埼玉県鶴ケ島市のガーデンパークで2024年6月3日、仲村隆撮影

 また、市内に工場がある同社の鉄道模型「Nゲージ」は、ふるさと納税の返礼品として人気が高く、21年の市への寄付額2億2700万円のうち、同社の返礼品を希望したのは8割超の1億9200万円を占める。こうした背景もあって、機関車の走る公園整備につながった。

 同市は、ガーデンパーク整備に合わせ、最寄りの東武東上線鶴ケ島駅周辺のまちづくりにも力をいれる。駅からガーデンパークに通じる市道900メートルを再整備し、電線の地中化や歩道の段差解消などに9300万円かけて取り組む。

 斉藤芳久市長は「これまで市には目立った観光地がなく、外から人を呼び込める場所が無かった。鉄道をキーワードにしたまちづくりを進めて、多くの人に来ていただける環境を整備したい」と期待を寄せる。

 9日のグランドオープンでは機関車の走行はないが、完成式典や軽便鉄道の展示、鉄道模型の販売などが行われる。

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