動画の制作や農業体験、イベントなどを通して秋田県東成瀬村の魅力を発信している男性がいる。村の地域おこし協力隊として着任して以来、様々な取り組みを企画し、地域の元気づくりにつなげている男性を紹介する。

東成瀬村田子内地区の田んぼで行われた「あきたこまち」の田植え。秋田県内に移住した人や東京から参加した人など20人が、昔の農機具を使って苗を手植えした。

この田植え体験を中心になって企画したのが、村の地域おこし協力隊・奈良悠生さん(27)だ。

農業経験のない人たちに、村でかつて行われていた農作業を体験してもらい、交流を図ってもらおうと初めて行われた。

 東成瀬村地域おこし協力隊・奈良悠生さん:
「東成瀬村のような山間地域、秋田県のような高齢化率日本一、農業生産人口が減っている場所で、20代の若い東京圏の人や移住者と一緒に体験することで、何か糸口となるようなアイデアをみんなで考えられたらと、実際に田植えをしてみるイベントにした」

青森県出身の奈良さんは、大学卒業後、都内で動画を制作する仕事に就いていたが、4年前、東成瀬村が映像発信できる人材を募集していたことをきっかけに、村に移住した。

地域おこし協力隊になると、YouTubeチャンネル「要」を開設し、村の生活を紹介する動画などで地域の魅力を伝えてきた。

また、車に載せた移動式サウナ「井戸端サウナ」の運営にも携わり、県の内外に出向いてにぎわい創出と東成瀬村のPRに努めている。

 東成瀬村地域おこし協力隊・奈良悠生さん:
「発酵やマタギ文化など、意外と面白いところは秋田にいっぱいあり、分かりづらいけれど奥に入っていくと面白いコンテンツがすごく詰まっているのが東成瀬村」

奈良さんが企画し、初めて行われた田植えイベント。慣れない作業に悪戦苦闘していた参加者たちは、地域住民の指導を受けると田植え姿も様になってきて、農業を楽しんでいる様子だった。

東京から参加した人は「田んぼはカエルが怖くて入ったことがなかった。いつもおじいちゃんたちが機械でやっている作業を、自分の手で土に植えるのが面白かった」「軟らかくて気持ち良いと思いながら、土を踏んでいる。東京に住んでいると、こういう経験はめったにないので、機会があるとうれしい」と笑顔を見せた。

田植えを始めて4時間。作業も一段落し、昼食の時間だ。

昼食には、地域に伝わる小豆汁など住民たちが腕を振るった料理が並び、田植えで気持ちの良い汗を流した参加者たちは、地元の食材のおいしさを味わっていた。

地域に元気を生み出そうとする奈良さんの活動は、住民たちにも受け入れられている。

地域住民は「『協力隊とは何だ』という人もいっぱいいる。何を協力しているのか分からなくても、昔のことを再現して、地元の人がやらないことをよくやってくれてありがたい。最高だ」と話す。

奈良さんの地域おこし協力隊としての任期は残りわずかとなったが、奈良さんは今後も村に残って地域の魅力を発信していくことを決めた。

 東成瀬村地域おこし協力隊・奈良悠生さん:
「色々な地域から出てくる問題や課題を、色々な人を巻き込みながら一緒にアイデアを出して、少しでも面白いアプローチができるような活動を任期後も続けていけるように、これからもイベントやツアーに転換していきたい」

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