大津市の長等商店街に、まちづくりの拠点となるカフェ「awai」(あわい)が18日、誕生する。運営する一般社団法人「BAND」(バンド)の代表理事、西聖平さん(35)=滋賀県守山市=は「滋賀はいいところがいっぱいあるのに、線としてつながっていない。この場所から情報発信できれば」と話す。
場所は商店街にある本要寺(大津市長等)の境内。元々は築120年を超える民家だった。空き家になっていた民家を寺から貸してもらい、大工を本業とする西さんを中心にはりや柱を残し、半年をかけてリノベーションした。awaiは漢字で「間」と書き、物と物の間を意味する。「ヒト・モノ・コトをつなぐ存在になれれば」との思いで名付けたという。
店内では、カフェのほか、午前11時半~午後2時には、ベトナム料理のフォーや台湾料理の魯肉飯(ルーローファン)、デザートとドリンクが楽しめるランチセット(1200円・税込み)を提供する。
また、軒先のスペースは、若者がもっとチャレンジできるようにポップアップ出店できるスペースとして設えた。
元々は関西外国語大(大阪府枚方市)でスペイン語を学んでいた。「ものづくりがしたい」と思いを巡らせていたところ、出合ったのが生きた樹木を建築上の基礎として活用する人用の家屋「ツリーハウス」だった。「これやなと思った」。師匠と仰ぐ大工に弟子入りし東京で修業を始めた。
その後、空間デザインなども手掛けるようになり、知人の依頼で施工した徳島県神山町のゲストハウスや、大分県竹田市の飲食店で地方創生の現場に触れた。
「街を歩いて、街の人と会話しながら施工する中で、街の人たちが変わるきっかけを作ることにやりがいを感じた」
子育て環境の良さなどから滋賀に戻ったのが4年ほど前。しばらくして「BAND」のメンバーと出合った。集まったのは30~40代の4人で、フォトグラファーや公務員など職業もさまざま。いずれも街づくりに関心が高く、大津の可能性を感じていた。
「近くには三井寺もあるし、琵琶湖も近い。大津は本当にポテンシャルのあるまちなんですよ」。自身、改めて街の魅力に気づかされることも多い。
「awaiを拠点に商店街が盛り上がったり、観光や自転車での散策に行ったりしてもらえれば」。大津の未来をこう思い描いている。
(入澤亮輔)
■awai(あわい)
大津市長等2―3―29(本要寺境内)。当面は平日のみ午前11時半から午後5時まで営業。ランチは午前11時半~午後2時。運営法人では工事費用や運営資金を得るため、4月30日までクラウドファンディング(CF)を実施している。目標金額は200万円。詳細はCFサイト「CAMPFIRE」(キャンプファイヤー)まで。
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