受験生のバイブルとしておなじみの赤本の表紙が20年ぶりに変わりました。
その理由は…圧迫感です。
■20年ぶりに大幅にリニューアルの“赤本” 表紙のフォントがやさしく小さくなった
大阪府寝屋川市で学習参考書を取り扱う書店。
【中村興文堂書店 中村純夫代表取締役】「こちらが2025年度の赤本です。東京大学、京都大学、関西でいえば関西大学、同志社大学、立命館大学が発刊されている」
棚にそびえたつ、赤い壁。通称、赤本です。
大学別に入試の過去問を集めたもので、手厚い解説も掲載されています。
そんな赤本の表紙がことし、20年ぶりに大幅にリニューアル。
シン・赤本では、以前のものと比べると文字が少し小さくなり、フォントも柔らかい印象になりました。
【中村興文堂書店 中村純夫代表取締役】「徐々に変わっていても分からないが、今回は大幅にイメージが変わっている。去年からことしを見た方は、全然違うっていうイメージがある。太い字だったが、さわやかになった。どっちかといえば僕はこんな感じが好き」
■若手社員の一言「威圧感がありすぎる」 親しみやすさを重視したデザインに
赤本の出版社は、実は、京都市内にあります。
なぜ長年愛されたデザインを刷新したのか、聞いてみると…。
【世界思想社教学社 上原寿明社長】「若い社員が、やっぱり“威圧感がありすぎる”と言ってまして。われわれはそういう認識は全然なかったんですけど、目立つことがある程度、必要な時代だったので。グサッと胸に刺さった。時代がずいぶん変わったと思った」
きっかけとなったのは、「表紙の圧が強くプレッシャーになる」という若手社員の一言。
地元の高校生にも意見を聞き、親しみやすさを重視して表紙を新たにしたということです。
【世界思想社教学社 上原寿明社長】「書店で並べて、赤い壁ができるんですけど。その時のイメージを想像してソフトになるという意味では、良かったかな」
■70年の歴史でかつては“ヒント”も 変化しても思いは変わらない
およそ70年の歴史を持つ赤本。
長きにわたって、時には受験生の壁として。そして、時には積み重ねた努力の証として、そばにあった存在です。
社内に残る一番古い赤本は、昭和32年に出版された、京都大学の過去問題集です。
今と変わらず問題や解答はありますが、“ヒント”と書かれた部分が。
(Q.落ち着いて読めば容易に結論は得られるって…)
【世界思想社教学社 上原寿明社長】「なかなか容易にはいかないんですけど…」
ほかにも「健全な勉強さえしていれば解ける良問だ」といったアドバイス?のようなものも。
【世界思想社教学社 上原寿明社長】「わずかなヒントだけが載っていて、あとは自分で考えなさいと。そういう時代でもあったと思いますね」
時代とともに“ヒント”は消え、取り扱い数は当初の5大学から、378大学にまで広がりました。
大幅なリニューアルについて、赤本にお世話になった大学生は…。
【関西大学の学生】「自分は勉強あまり好きじゃないので、圧が少ないほうがいいです」
【関西大学の学生】「こっちの(新しい)ほうが、親しみやすそうでいいと思います」
一方で、こんな意見も。
【関西大学の学生】「自分は前のほうがいいかな。プレッシャー与えてくれたほうが、やらなあかんなって思う」
【関西大学の学生】「これ(古い方)見たときに、やる気でたっすね。うわ、とうとう俺、本格的にはじめたなって。入試始まったなって」
時代によって変化してきた赤本ですが、そこに込められた思いは変わりません。
【世界思想社教学社 上原寿明社長】「受験そのものを、苦しいとか嫌なものってばっかりに取ってほしくない。人生で一番よく勉強する時期でもありますのでね。それは良い意味で、乗り切ってほしいと思います。そういう時に赤本がちょっと役に立てればなということですね」
(関西テレビ「newsランナー」2024年6月18日放送)
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