秋田県湯沢市でいま、サクランボが盛んに収穫されている。生産者の多くは70代以上で、旬の味覚を消費者に届け続けるために課題となっているのが“担い手の確保”だ。

市は2023年、職員が「副業」としてサクランボの収穫や仕分けなどに参加できる仕組みを作った。2024年は制度開始2年目のシーズン。今後の安定的な生産への大きな力となっているようだ。

湯沢市の三関地区では、「三関さくらんぼ」の収穫が盛んに行われている。JAこまち管内では、162の農家がサクランボを生産しているが、高齢化が進んでいる。

担い手を確保し、地域を代表する味覚を次の世代につなげようと、市は2023年、公務員である市職員の「兼業」を一部認めることを決めた。

2024年は、20~50代の職員22人がサクランボ農家の副業に名乗りを上げ、主力品種・佐藤錦の収穫が始まった6月12日から、7つの農家で収穫や仕分け作業にあたっている。

19日は、市職員としての業務開始前の午前5時から午前7時まで、2人が水戸農園で「農家」として仕事をしていた。

 湯沢市商工課・土田 一宇宙さん:
「朝は得意なので大丈夫。生産者と楽しくいつも会話しながらやっている。『ことしはすごい実が多い』など」

 湯沢市都市計画課・門脇 敏寛さん:
「ことし初めて参加した。手作業でやらないといけないことと、実を傷つけてはいけないので、丁寧にやっている」

水戸農園は、250本の木でサクランボを栽培している。普段は20人で収穫や仕分けをするが、最盛期にはそれでも人手が足りず、収穫を諦めることもあった。

 水戸農園・水戸義昭さん:
「去年もことしも豊作。去年は人手不足で2割のサクランボを収穫できなかったので、ことしはそういうことがないように、市役所職員の応援がもらえるとのことだったので応募した」

水戸農園は2024年、市職員の応援を受け、順調に収穫作業が進んでいる。また、人手が増えたことで作業にかかる時間が短縮され、比較的涼しい午前のうちに収穫を終えることができるようになった。

収穫後は、屋根がある場所で仕分け作業にあたることで体の負担が軽減されている。

2023年は訪れる副業の職員が毎日異なり、収穫の仕方などを毎回教えなければならなかった。これを受け、2024年は職員が働く農家が毎回同じになるように改善した。

 湯沢市商工課・土田 一宇宙さん:
「ちょうど商工課にいて、湯沢市の特産品を県外にPRしていく職場にいるので、いろいろな作物を知ることができるのは貴重な体験。これからはもっと力を入れて、自信を持ってPRしていきたい」

 JAこまち桜桃部会・高橋信治部会長:
「大変な部分をみんなで手伝ってもらって、この産地を将来につないでいければと思う」

農家と行政が一体になった取り組みは、地域の旬の味覚を次の世代につなげる足がかりとなっている。

市は今後、リンゴやセリなど他の農産物での職員の副業導入を検討することにしている。

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