福島県が誇る自然。その雄大さや美しい表情を求め、県の内外から多くの登山客が訪れる。コロナ禍を経てもなお人気は高いままだが、一方で気をつけなければならないのが山での事故。転倒、滑落、道迷い…一歩間違えれば、大ケガや最悪の場合命に関わる危険がある。安全を守るために、改めて山に入る際に求められることとは?
山の事故が増える時期
一年の中でも5月から10月ごろまでは、山の事故が増える傾向にある。全国では2023年1年間に山で遭難した人が3586人と過去最多となっていて、福島県内では72人このうち5人が亡くなっている。2024年は2023年の同じ時期をすでに上回っていて、改めて山の事故を防ぐポイントを取材した。
この記事の画像(8枚)救助方法を確認 警察の訓練
福島市の金剛山で行われた福島県警察本部の訓練。登山者の遭難に備え、救助のノウハウや知識を共有するために定期的に実施している。なかでも重点的に確認していたのが、転倒・滑落への対応だ。
ケガをして動けなくなり、下山することが出来なくなる場合もある転倒や滑落。
福島県内で過去5年間に夏山で発生した遭難では、この2つを合わせて半数近くを占める。とくに滑落は命に関わる危険もある。
山岳遭難や水難を担当する福島県警察本部・地域企画課対策係長の三浦広之警部補は「滑落した場合は、まず落ち着くことが大切。その場で深呼吸して自分の状況をよく把握していただく。そして救助要請は110番で」と話す。
転倒や滑落を防ぐポイント
1.山の状況にあった登山靴やストックなど道具を適切に使う。
2.安全な登山計画を立て、事前に滑落の恐れがある箇所を把握する。
3.決して急がず、先の道の状況を確認しながら足元に注意する。
天候急変で道を迷うケースも
また、年間を通して最も多いのが「道迷い」だ。山は天候が変わりやすいため、霧などが発生すると登山道を見失ってしまうケースがあるという。
福島県警察本部の三浦警部補は「スマホにも地図の情報がありますので、時々自分の居場所を確認していただくのが大切」と話す。
登山中に体調を崩しての救助要請もあり、これからの季節はとくに熱中症対策も求められる。
登山届の提出を
遭難対策にも改めて山に入る際にお願いしたいのが「登山届」の提出。登山届を出していれば行動予定や登山ルートも確認できる。(※入山口を管轄する警察に郵送・FAX・メールで提出)
警察は登山届を提出できる「コンパス」というアプリの利用を呼びかけていて、GPSの位置情報などから、万が一のときに捜索活動に役立てることができるということだ。
また、事前に家族や宿泊先の施設などに何時ごろに入山するか、登山のルート、そして下山の予定時間を伝えておくことも大切だ。
登山に持っていくべきもの
秋や冬と比べると夏はどうしても軽装になるが、朝晩は気温が低くなるので、最低限の防寒着、また水と食料は少し余裕を持ってほしい。
また地図・コンパス・ライト・レインウェアは欠かさず、携帯電話などの充電用に予備のバッテリーもあると安心だ。
そして、クマの目撃も増えているのでその対策も忘れずに。登山を楽しむためにも、事前の備えを。
(福島テレビ)
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