館内に入ると目の前に現れる原寸大の竪穴式住居の模型=埼玉県春日部市の市郷土資料館(昌林龍一撮影)

最近は外国人観光客の来館が多い。取材日にはタイからの観光客がいた。お目当ては、入り口に置かれた埼玉・春日部が舞台の人気アニメ「クレヨンしんちゃん」が描かれたスタンプだ。市観光協会と双葉社などが協力して作成した「クレヨンしんちゃん 春日部スタンプ巡り」に来たのだという。

押す面には、国指定特別天然記念物の牛島に咲くフジや国選択無形民俗文化財の大凧あげなど春日部のシンボルが描かれている。

館内に入ると、市内で見つかった原寸大の竪穴式住居の模型があり、その前で記念撮影ができる。左回りに約360点の常設展示。学芸員の鬼塚知典さんは「千葉県の埴輪(はにわ)と埼玉県の埴輪が市内の同じ古墳で発掘されました」。昔は下総国と武蔵国の境が、現在の春日部市内だったのだろう。そこから先に進むと、長さ約5・5メートルの壮大な粕壁宿の模型(縮尺200分の1)がある。

市内の小学生らが制作した粕壁宿の模型=埼玉県春日部市の市郷土資料館(昌林龍一撮影)

時計回りに回ると、奥はは企画展示。毎年5月に開催される大凧あげに関する資料などがある。最盛期に9尺(2・7メートル)あった牛島のフジの花房を「原寸大で再現しちゃいました」と書いた展示もあり、よく見てみてみると「クスッ」と笑える仕掛けがある。

一度ロビーに出て反対側に行く。4月1日にオープンした鉄道高架事業に関する模型と駅周辺の歴史などが学べるスペース。東武鉄道春日部駅は高架事業が本格化しているが、鉄道高架建設事務所所長の田中久義さんが東西を結ぶ道路が今後どうなるかを説明する。

小学生から募集したペーパークラフトによる粕壁宿を再現した模型があり、他にはパネルもある。同館館長の実松(さねまつ)幸男さんは「まちの移り変わりを楽しんでください」。盛りだくさんの「館」だった。(昌林龍一)

■アクセスガイド

埼玉県春日部市粕壁東3の2の15 教育センター1階。東武スカイツリーライン、東武アーバンパークライン春日部駅東口から徒歩10分。午前9時~午後4時45分。無料。休館日は月曜日、祝日と重なる月曜日の翌日、祝日、年末年始。同館(048・763・2455)。

■春日部市郷土資料館

常設展示は春日部地域の歴史に関する資料を旧石器時代から近代・現代まで時代順に展示。企画展示は年3回。「*花の彩り*春日部*」展(~5月2日)を開催中。県鉄道高架建設事務所と協力し東武鉄道の高架事業の模型と駅周辺の歴史などが学べるコーナーが4月1日にオープンした。

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