教員の処遇などを議論する中央教育審議会(中教審)の特別部会が19日開かれ、残業代の代わりとして公立学校教員の給与に上乗せしている「教職調整額」を現行の月給4%から「10%以上」に増額することを柱とする提言の素案が提示された。調整額の割合は昭和46年制定の教員給与特別措置法(給特法)で定められており、文部科学省は来年の通常国会で給特法の改正を目指す。
素案を基に5月に提言がまとまる見通し。法改正が実現すれば、半世紀ぶりの引き上げとなる。
素案には、個々の教員の負担を軽減するため、小学校5、6年生で行われている「教科担任制」を3、4年生にも拡大する方針も盛り込まれた。
若手を指導する新たなポストの設置も提案。校長や教頭といった管理職を補佐する「主幹教諭」と一般の「教諭」の間に位置付けるとした。
教員の長時間勤務が常態化するなか、教職調整額は実態を反映していないとして「定額働かせ放題」などと揶揄(やゆ)され、教職の魅力を引き下げる一因と指摘されていた。
特別部会は昨年6月に議論を開始。労働時間に応じた残業代の支給なども検討したが、授業の準備や部活動の指導など勤務の線引きがあいまいなため、「校長が時間外勤務の職務命令を出すことは難しい」(文科省担当者)と判断。調整額を維持した上で調整額の増額が妥当と判断した。
小中学校など公立学校教員の給与は、国が3分の1、自治体が3分の2を負担している。現行の2・5倍となる10%にした場合、公費負担は約2100億円増える見込みで、財源の確保も課題となる。
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