「どうじゃね 元気かね」

弾むような明るい声で歌いながら、落ち込んでいる私の肩を「ポン」と一つたたいてくれたのは私より9歳年上の姉でした。

母が32歳で亡くなり、4人の子供は姉10歳、私1歳でした。そのあと姉は育ての母と私たちの間に立って守り育ててくれました。この歌は姉自身の応援歌だったのかもしれません。一番苦労したやさしい姉でした。

私は18歳から浅草で住み込みで美容師を志し23歳で自立、26歳で結婚。夫とは数年前「ダイヤモンド婚」もでき、昨年穏やかに96歳で見送ることができました。

今も私なりに仕事を続けています。長い人生多くの苦労もありましたが、その度にこの「どうじゃね」を口ずさみます。でもこの歌は誰に聞いても知りません。昔一度だけラジオで流れ聞いたときは、「ほんとうに、あったんだ」と涙が出ました。

今、日本はいくつもの大地震に襲われて筆舌につくせぬご苦労をされている方が大勢いられます。私は何もお手伝いはできませんが、できることはして心では「どうじゃね」と口ずさんで応援していきたいと思っています。

吉田加奈江(90) 東京都練馬区

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