保存修理中の橿原神宮(奈良県橿原市)境内にある国重要文化財「文華殿」が19日、報道陣に公開された。令和8年の完成に向けて屋根の改修などが進んでおり、同神宮は「屋根の下地部分を直接見ることができるのは今回が最後になるだろう」と説明。20日から一般向けに特別公開される。
文華殿は、織田信長の弟で茶人として知られる長益(有楽斎(うらくさい))の五男、尚長(なおなが)を藩祖とする柳本藩(現奈良県天理市一帯)の陣屋御殿の大書院と玄関部分にあたる。江戸時代後期の天保15(1844)年に建てられ、明治10年から小学校の校舎として使われ、昭和42年に橿原神宮に移築された。
老朽化によって建物の礎石が沈み、屋根瓦が破損するなどしたため、令和2年から県文化財保存事務所が改修工事を行っている。
昨年度までに、地盤強化のためいったん礎石を取り外してコンクリートの基礎を新設。建物を持ち上げて再び据え直す作業も無事に終えた。現在は、屋根の部材の補強が行われており、約3万枚の瓦をふき直す。
一般公開は令和4年からこの時期に実施。今回は建物を保護する覆い屋内の足場から屋根が間近に観察でき、大書院にある鳳凰が彫られた彩色欄間(らんま)も見学できる。期間は20、21日と27日~5月6日で、一般3千円、高校生以下1千円。宝物館にも入館できる。問い合わせは同神宮(0744・22・3271)。
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