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<韓国を代表するライティング・コーチが語る、子どもが作文力を身につけるために重要な3つのキーワード>
暑い日が続く夏休み。読書や作文が苦手な子どもにとって、読書感想文は一番憂うつな宿題ではないだろうか。
なぜ作文宿題が憂うつで難しく感じるのかといえば、作文を書くとき、私たちの頭の中ではさまざまなことが起こっているからだ。
文章を書くことは、次々に浮かんでくるアイデアを取捨選択し、まとめるということだ。どう書けば伝えたいことが思い通りに相手に伝わるのかを、全体の構成、表現、語順、さまざまな角度から考える作業でもある。これは、大人であっても、論理的な文章を書く力を身につけていなければ、複雑で高度な技なのである。
しかし、韓国でライティング・コーチとして活躍し、ライティング指導歴20年を超えるソン・スッキ氏は、子どもたちへ向けて、毎日10分でもいいので、少しずつ訓練を積み重ねていけば、論理的な文章を書く力は誰にでも身に付くと述べている。
今回は受験大国・韓国でロングセラーとなっている『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)から、子どもの「論理的に書ける脳」をつくる3つのキーワードを抜粋して紹介する。
◇ ◇ ◇キーワード1:「毎日少しずつ」
「世界的に活躍する一流の人たちはどんな練習をしているのか?」。
第1章でも登場したアメリカのジャーナリストのダニエル・コイルさんは、その答えを知りたいと研究を続けました。
その結果、一流の人とは、「自分の能力を伸ばすために必要なことは何かを見極めて、それを身につけるために毎日、練習に打ちこんでいる人である」ということを突き止めたのです。
このことからダニエルさんは、1日に5分ずつでも毎日行うことが、週に1回、1時間だけ集中して練習するよりもずっと効果的だと強調しています。
ところで、韓国の小学生の毎日の平均読書時間は15分に満たないという調査結果があります(日本の小学生は15分前後)。アメリカの小学校では、授業が始まる前に毎日、ライティングを行っていますが、この時間も15分間です。
この数字は、小学生が読書や作文で集中できるのが10分から15分の間であることを物語っています。(本書で紹介している)オレオ公式でロジカル・ライティングを行う時間も、みなさんの集中力が続く10分から15分が最適です。
では、一日のうちのいつ練習するのがいいと思いますか? これは、みなさんが自分で一番やりやすい時間帯をえらんで、規則的にできる時間帯であればいつでもいいのです。朝、学校に行く前がいいのか、夕食の後がいいのか、ゲームをする前に書くのがいいのか。大事なことは、毎日無理なく続けられることです。
[おうちの方へ]
子どもの集中力が持続するのは10~15分です。しかし、お子さんの関心や習慣次第ではロジカル・ライティングで書き終えるまでに30分かかるときもあるでしょう。また、練習を重ねると5分もかからなくなるかもしれません。重要なことは、10~15分という時間にこだわるのではなく、子どもたちがロジカルに考えて書く練習を「毎日」「決まった時間に」行うことです。また、一日のうちのいつやるのがいいのか、なぜその時間帯がいいのか、お子さんに尋ねてみてください。
キーワード2:「自分から進んでがんばるほどチカラがつく」
どんなに効果的ですばらしい方法でも、みなさんが自分で行わないとその効果かは期待できません。
下の図は、(本書で紹介している)「ハーバード大生みたいな1日10分ライティング」を、5W1Hを用いて説明したものです。5W1Hとは、英語のWhen(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)の頭かしら文字を集めたもので、情報を整理するための原則です。みなさんも学校で習ったことがあるかもしれませんね。ライティングの練習を、いつ、どうやって行うのか考えてみてください。
キーワード3:「手で書くと上達する」
みなさんの中には、パソコンやスマートフォン、タブレットの操作が得意な人もいることでしょう。「ハーバード大生みたいな1日10分ライティング」の毎日の練習も、そうしたデジタルデバイスを使って書きたいと思うかもしれません。
ですが、ちょっと待って! この10分ライティングはぜひ、手書きで行ってほしいのです。ノートに手で書くことが、脳の活動を活発にするという研究結果があるからです。
これを支持する面白い実験があります。アメリカのインディアナ大学で心理学を教えているカリン・ジェームズ教授が、手書きで文字を書くことについて次のような実験をしました。
まだ読み書きがあやふやな小さな子どもたちに、文字が書かれたカードを見せ、「紙に手で書かせる」「点線で描かれたりんかくをなぞらせる」「コンピュータにタイピングさせる」という3つの方法で、カードと同じように書いてもらったときの脳がそれぞれどれくらい活発になるのかを調べました。
その結果、紙に直接手書きした子どもたちの脳には、大人が読み書きするときと同じ部分が活発になる反応が見られたのです。一方、ほかの2つの方法には、そうした反応はごくわずかであったり、見られなかったということです。
こうしたことから、ジェームズ教授は、手で文字を書くことが子どもの脳を発達させるという結論を出しました。作文を手書きする場合は、漢字や送りがななどの言葉の成り立ちや、文字のバランスまで考えています。こうしたことまで気を配るため、手書きのほうがはるかに脳が鍛えられるというわけです。
きれいな文字は得をする! ?
作文を手書きで書くことをすすめる理由がもうひとつあります。毎日、手で文字を書けば書き方も上達するからです。
文字がきれいであることは、実はテストでも得することがあります。たとえば、作文の採点の場合、同じ内容でも、先生が読むのに苦労するほどのきたない文字で書かれた文章では、書かれた内容まで説得力に欠けて見えるからです。
きれいな字は得をします。毎日書くときは、きれいに書くことも心がけてみましょう。
『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』
ソン・スッキ[著] 岡崎暢子[訳]
CCCメディアハウス[刊]
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ソン・スッキ(ソンスッキ)
1965年生まれ。大韓民国を代表するライティング・コーチ。ソン・スッキ作文センター、アイデアウイルス代表。稼げるライティングソリューションを提供し、企業と個人のマーケティングコンサルティングを担う。慶熙大学にて国語国文を専攻し、卒業後は、放送局、広告代理店、新聞社、雑誌社、女性向けポータルサイト、出版社などで経験を積む。執筆活動歴35年、ライティング指導歴20年。『150年ハーバード式ライティングの秘密』は韓国で10万部のロングセラー。
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