慶應義塾大学東門=慶応大学三田キャンパス(斎藤浩一撮影)

今回は慶應義塾大の一般選抜の合格者が多い学校をまとめた、「慶應義塾大に強い学校ランク」をお届けする。

慶大の入試方式は、一般的な私立大とは異なる。文系学部で国語の代わりに小論文などを課し、経済学部と商学部で数学が必須の方式がある。さらに、理工学部の理科が物理と化学の2科目必須など、私大専願層が出願しにくい入試方式。予備校関係者は言う。

「慶大の入試方式は難関国立大入試と親和性が高いこともあり、難関国立大の合格実績が高い学校が合格者数ランキングの上位に並ぶ」

確かに、「慶應義塾大に強い学校ランク」中にある学校の東大合格者数を見ると、1位の開成が149人、2位の日比谷が60人、3位の聖光学院が100人など、東大の合格実績が高い学校が多い。

ランキング中の学校について詳しく見ていこう。トップの開成の合格者数は前年を7人上回り、11年連続で合格者数ランキングトップを続けている。ただ、全体の合格者に占める現役の割合となると、ランキング中では10位の麻布(55・5%)についで低い62・8%。慶大全体の合格者に占める現役の平均占有率69・3%を下回る数値だ。

「現役で慶大を併願する東大受験者は比較的少なく、浪人して初めて併願する受験生が多いので現役占有率が低いのでしょう」(予備校関係者)

この傾向は、慶大と同様に東大の併願先となる早稲田大でも見られる傾向であり、開成は早大の現役占有率も低い。

開成や麻布と対照的に合格者に対する現役占有率が高いのは7位の頌栄女子学院で93・8%。東大合格者が4人と少なく、慶大が第一志望の生徒が多いということのようだ。

ランキングに戻ろう。日比谷は73人増で前年の17位から2位、聖光学院は24人増で6位から順位を上げている。前年から順位の変動が最も大きいのは前年の32位から10位に入った栄東で、合格者は41人増。対照的に順位を下げているのは、前年の2位から9位になった横浜翠嵐で合格者は23人減だった。

学部別の合格状況を見ていこう。

私大最難関の医学部に最も多くの合格者を出しているのは桜蔭(東京)。総合格者数ランキングは20位(82人)で上位に入らないが、医学部に限定した合格者は21人で、総合格者の4人に1人に相当する。2位の筑波大附駒場(東京)も全体の合格者数は70人で33位だが、医学部に限ると2番目に多い14人、3位は開成の11人となった。

他の医療系を見ると、看護医療は東京農業大第一(東京)、共立女子(東京)、横浜共立学園(神奈川)が各4人。薬は市川(千葉)17人、女子学院(東京)13人、千葉・県立(千葉)と日比谷が各12人。文系は、経済が開成52人、浅野49人、聖光学院44人。商は湘南46人、浅野34人、海城32人。法は頌栄女子学院30人、攻玉社(東京)17人、日比谷16人と、全体ランキングで上位の学校が並ぶ。(大学通信・井沢秀)

井沢秀

いざわ・しげる 大学通信情報調査・編集部部長。1964年2月6日、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、受験情報・分析を主力事業とする大学通信入社。大学の入り口(入試)から出口(就職)まで、情報を収集し発信中。中高・大学受験の案内書・情報誌を編集するほか、新聞社系週刊誌、経済誌などへの情報提供と記事執筆を行う。

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