特集は、子どもたちの成長を促す合宿です。長野県須坂市で小学生が公民館で合宿を行っています。サポート役は高校生。慣れない環境の中、4泊5日の共同生活を通じ、小学生は自立心を、高校生は責任感を養います。
■高校生が小学生をサポート
7月17日、須坂市井上―
高校生:
「おかえりー」
児童:
「ただいまー」
学校を終えて児童が帰ってきたのは家、ではなく、公民館です。
井上小学校の4年生から6年生の児童26人が、火曜日から4泊5日の「公民館通学合宿」を行っています。
午後3時―。
宿題を始める児童。
高校生:
「角度の求め方、習った?」
児童:
「習ってない」
サポートするのは、須坂高校と須坂東高校の生徒19人です。
5年生:
「家では教えてくれなくて、だけど公民館では高校生とかが教えてくれる。高校生優しいなって」
■児童には自立と協調性 高校生には責任感を
合宿は、児童には自立と協調性を養ってもらい、高校生には子どもたちとの関わり方や責任感を学んでもらおうと初めて企画されました。
発案者は地域おこし協力隊員の井上陽介さん(31)です。
発案者(地域おこし協力隊)・井上陽介さん:
「短期的な目標でいえば、この井上小学校の通学合宿に参加した子たちが地元の高校に進んで、合宿に参加してほしい。そして、その子たちがまた地元の子の面倒を見て育てて」
■一緒に夕食作り 地域住民も協力
合宿の中身やスケジュールは、高校生が考えました。
この日は合宿2日目。
高校生:
「みうちゃん、急いで!」
児童と高校生が5つの班に分かれて、風呂や宿題などのスケジュールをこなしていきます。
お風呂は近くの入浴施設を利用―。
お風呂から帰ったら宿題―。
須坂東高校3年・大山佳弥乃さん:
「良い感じじゃん!これで宿題頑張れそうですね!よし、レッツゴー!」
2班の班長は須坂東高校3年の大山佳弥乃さん。助産師を志していて、子どもと関われる機会に魅力を感じ、参加しました。
須坂東高校3年・大山佳弥乃さん:
「もとから子どもがけっこう好きで、ちょうど小学生と関われる。ゼロから企画して、自分たちと一緒に合宿する企画を魅力に感じて参加しました」
午後5時、夕食準備―。
2班は、この日、夕食当番。
地域住民にも手伝ってもらいながら豚汁とチンジャオロースーを作りました。
児童:
「目、痛くなってきた」
タマネギが目にしみるー。
児童:
「マスクで目隠しとこ!」
一同:
「笑笑笑」
児童:
「おいしそう、このピーマン」
高校生:
「しなしなになったらいいよ!」
作ったのは約50人前。家庭ではできない経験です。
4年生:
「たのしい。うれしい、自分が作ったの食べてもらったら」
5年生:
「家でもいろんなの作ってみて、いろんな料理をできるようにしたい」
大山さんもー
須坂東高校3年・大山佳弥乃さん:
「いい経験になりました、こんなに作ることないんで。もう豚汁は作れますよ!早くから始めようって言って、小学生も『やりたい!やりたい!』って意気込んでくれて、けっこうスピーディーに、ちょうどいい感じに終わらせることができてよかった」
午後7時ー。
「いただきます」
児童:
「うまい!」
好き嫌いする児童もー。
児童:
「やだ!ピーマン1本だけ」
6年生:
「(どう味は?)おいしいです」
5年生:
「みんなで食べた方がとってもおいしい」
■自分たちで考えて成長を
発案者の井上さんは信州大学で教育を学び現在は須坂・須坂東の両校で「探求」の授業のアドバイザーを務めています。
高校生の成長に期待を寄せていました。
発案者(地域おこし協力隊)井上陽介さん:
「教育だったり、子どもに関係する将来を考えている子たちが多数参加していて、26人の子どもたちの命を預かって、親御さんの期待を背負って、合宿を完全にやりきるとなったときに恐ろしい責任感と、当然ストレスもかかりますし、けど自分たちで考えて乗り切ることで成長してほしい」
■一日の最後は班ごとの反省会
午後8時、寝前のお楽しみ会。
みんなで花火をしました。
輪になって線香花火を楽しむ―。
午後9時、一日の最後は班ごとの反省会。
須坂東高校3年・大山佳弥乃さん:
「『ダイコン切った』『タマネギ泣いた』って、泣いたね」
4年生:
「(合宿は)たのしい。(お父さん、お母さん、いなくて平気?)うん。他の人たちいるから」
6年生:
「ご飯とか、片付けとか、お風呂とか自分ではめったにやらないようなこととか体験して、大人の仕事の大変さを改めて感じた。(親には)それをやってくれてありがとう、という気持ちを話そうと思いました」
午後9時半、就寝ー。
「おやすみー」
児童が眠りについてから、高校生は反省や翌日の打ち合わせ。
夜遅くまで続きました。
須坂東高校3年・大山佳弥乃さん:
「一日があっという間で、反省も結構出てて、あっという間すぎて、逆にこの瞬間を楽しみながら成長をサポートしていきたいと思う」
■地域のつながりが深まれば
7月18日、合宿3日目―。
児童と高校生、すっかり打ち解けています。井上さんはこの合宿が地域のつながりを深める催しになればと考えています。
発案者(地域おこし協力隊)井上陽介さん:
「小学校で合宿を経験する側、高校でつくる側、大学に行って地域に戻って手伝う側に、ひとつのワンサイクルになるかなと思っていて。世代間で知らないとか、つながりがないというのが減ってくると思うので、小っちゃい頃からちょっとずつ意識を変えるというのが大事だと思う」
児童:
「行ってきます!」
公民館から学校へ―。
子どもたちの成長を促す4泊5日の合宿です。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。