「こんなにハマるとは正直思っていなかった」

ソープランドで自らの体を売り、稼いだ200万円の多くをホストに使う20歳の女子大生。彼女はフジテレビ情報番組「めざまし8」取材班に、そう無邪気に話しました。

日本一の繁華街・新宿歌舞伎町。華やかなネオンのすぐ近くには、自分が買われるのを待つ女性たちがいます。彼女らの多くがホストクラブでの高額な売掛金、いわゆる“ツケ”が発端となり体を売るという実態があります。

今回は、ホストにハマった20歳女子大生ソープ嬢の、体を売ることで抱える“葛藤”と、それでもホストに通う“理由”を追いました。

「まるで異世界。楽しくて、楽しくて…」

私たち取材班が出会ったのは、月に3、4回歌舞伎町のホストクラブに通っているという20歳の女子大学生。この日も、慣れた足取りで歌舞伎町のホストクラブ街を案内してくれました。

彼女が初めてホストクラブを訪れたのは18歳の時。きっかけは友達との”軽いノリ”、ただそれだけでした。

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しかし訪れてみると、目の前にはキラキラした内装、コールで盛り上がる店内、自分の話に耳を傾けてくれるたくさんのホストたち…。

彼女にとってそこはまるで”異世界”でした。

「もう楽しくて、楽しくて…って感じでした」

初回でホストに完全に心を掴まれた彼女は月に3、4回のペースで歌舞伎町に通うようになります。

「こんなにハマるとは正直思っていなかった」

そう語る彼女の家には、これまで出会ってきたホストたちの名刺が50枚以上あるといいます。

彼女にとってホストは、「友達感覚で何でも話せる存在」。時に親身になって相談に乗ってくれることも、時にふざけた話で笑いあうこともあるのだといいます。

さらにホストはアイドルとは違い、頻繁に連絡を取り合える存在。連絡をこまめに取り合ううちに、彼女はさらにホストへとハマっていくことになりました。

「毎日泣いて」ホストのためにソープランド

初めはガールズバーで働き、ホストクラブで使うための金を稼いたという彼女。しかし、徐々に使う金額は増え、やがてガールズバーの収入では足りなくなっていきました。

そんな彼女が始めたのが、ソープランドでの仕事。ガールズバーとは異なり性的なサービスが伴います。もちろん“本番”もあり。

「初めて自分の体を売るってなった時は、もう毎日泣いてましたし。なんで自分、このホストのために?って思っちゃうんですよ。やっぱり急に我に返ることもあって、『なんでこの人のために私こんなことしてんだろう』みたいなことを思ったこともあったんですけど」

そう話す彼女からは、自分自身の中での葛藤が伝わってきました。

現在、週5〜6日はソープランドで働いているという彼女の収入は月200万円ほど。暇さえあればソープランドで働き、1日に7、8人の相手をして収入を得る生活だと言います。

ソープランドで働き始めたことをホストに告げると、返ってきた言葉は「そうなんだ。じゃあ、これから頑張ろうな」でした。

体を売ることを決めた彼女の覚悟に対し、あまりにそっけない返事のように思えましたが、それほどまでに“ホストのために体を売る”という行為が歌舞伎町では当然のことになっていると彼女は言います。

なぜ体を売ってまでホストに貢ぐのか?

泣きながら体を売ってまでホストに貢ぎ続ける生活。一体何が彼女をそこまでホストにのめり込ませるのでしょうか?

彼女の心の中に幼少期からあったのは、“姉と比較される自分”。

家族仲はよかったものの、優秀な姉ばかり褒められてきた経験から、自分に自信がない。一方で他人に認められたいという思いはひときわ強いのだといいます。

そんな彼女にとっては、「服かわいいね」「メイク変わったよね」そんなちょっとしたホストの言葉でも、心が満たされるといいます。

そして自分を否定せず、全てを肯定してくれるホストの言動で「承認欲求」が満たされるのです。

彼女はソープランドで得た収入のほとんどをホストクラブで使っています。しかしその使い道に、彼女の中で迷いは一切ないように思えました。

そんな彼女がホストクラブに通い始めて変わった“モノ”。それは、金銭感覚と恋愛対象です。

1回のホストクラブで100万円以上使うこともあるという彼女の金銭感覚が一変したことは想像に難くありません。

それに加え、恋愛対象にも変化が。常に身なりに気を使い清潔感を保つホストと長く接するうちに、周りの一般男性を恋愛対象として到底見られなくなってしまったというのです。

売掛廃止でもホストに通いますか?

2023年12月、彼女が通う歌舞伎町のホストクラブを巡り、事態は大きく動きました。

ホストクラブでの高額な“売掛金”の返済を巡るトラブルが相次いでいることを受け、歌舞伎町のホストクラブ経営者らが区との連絡会で、2024年4月から売り掛けを全廃する方針を示したのです。

彼女も過去に120万円の売り掛けをした経験がありました。その時の手持ちはほぼゼロ。

お金を使う気は全くなかったと言いますが、ホストからかけられたのは「お前しかいない」という言葉でした。その言葉に押し負け、彼女は120万円のシャンパンタワーを入れることに。

「次の月までに返せばいいから」、そんなホストの軽い言葉とは裏腹に、彼女を待っていたのは、借金を返すため焦りながら働く毎日でした。

明らかに彼女の支払い能力を超えた“売り掛け”だったのです。

一方、売り掛けの廃止は彼女にとって、ホストクラブに通いづらくなる要因でもありました。支払う額を事前に全て用意しなければならなくなるからです。

売り掛けが廃止になった後も、彼女はホストクラブに通い続けるのか――。

彼女の答えは、「はい」でした。

「月に行く回数は減るかもしれないです。でも自分がお金を貯められた範囲で用意して行けたらなって思います。少しでもホストの力になれたらなって」

「100万円の割に合わない。でも一緒に・・・」

「ホストクラブは、月100万円の割に合っていますか?」

取材班は、率直な疑問を彼女にぶつけました。その質問に、彼女は次のように答えました。

「100万で娯楽を買ってるみたいな感じになってるから、そう考えると確かに割に合ってないなとかも思うんですけど…、高級ブランドとかも買えるし、その方が自分のためになるんじゃないかとかも思うんですけど…、それよりもホストと一緒にいる時間が、普通では多分出会えてなかった人だったと思うんで…」

そう答える彼女は、少し困惑しているような、自分でも答えがわかっていないような表情に見えました。

「割に合ってはいない」、自分でそう思っていても、彼女は全てを肯定してくれるホストのために体を売り続けます。

体を売って何百万も使ってでもホストを得られる幸せとは?

「彼がホストを辞めてからも連絡が取れて、一緒にいられる関係になりたい。結婚までとは思わないんですけど、その人とは仲良くいられたらいいなって思います」
 

「めざまし8」が追い続け、その後国会でも議論されることとなった「“悪質ホスト”問題」。

なぜ女性たちはホストに通うため体を売るのか?そして、売掛金廃止の動きの中、ホスト側の本音は?日本特有の社会問題を日本一深く取材したフジテレビの番組が「令和の日本の夜」の実態を描き出します。

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