『コタ、お前は落語家になりたいの?』

『コタ、お前は落語家になりたいの?』 豊田寿太郎著(今人舎・1540円)

著者は、16歳の高校生。落語家、林家木久扇(きくおう)の孫で林家木久蔵(きくぞう)の子とあって、落語家一家がどんな家庭を営んでいるのかと注目されている。

本書では生い立ち、学校生活、7歳での高座デビュー(芸名・林家コタ)や将来の仕事、家族への思いをつづった。版元関係のイベントで同年代向けに落語を披露した縁で、昨年夏前に執筆依頼を受けた。今年3月で演芸番組「笑点」卒業の木久扇に贈りたいと8カ月で仕上げた。

編集担当の中嶋舞子さんは「最初にいただいた自己紹介の原稿からリズムがのった文章で、使う言葉や言い回しもおもしろかった」。随所に「からっきし」「もってのほか」「とにもかくにも」など渋い言葉が並ぶ。お茶のおいしさを知らない若者に「最近の子は、そんなものなのでしょうか」。趣味のお城巡りの醍醐味(だいごみ)、削り器で削るかつお節へのこだわりなども読ませる。

タイトルは将来についての自問自答から。落語家になることへの迷いなどは「葛藤中でございます」としつつ、「つまらない人生はまっぴら御免」とも。中嶋さんは「高校生のコタさんが将来に悩んだり、考えたりしていること、家族への思いなど、同年代の人の参考になれば」と話している。(三保谷浩輝)

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