お盆をふるさとで過ごす人たちでにぎわいを見せた夏祭り。
高知のよさこい祭りでは、祭りに不可欠な鳴子を廃棄せず、新たな形で活用する取り組みがスタートしました。
四国三大祭りの1つ、高知のよさこい祭り。
2024年は、約1万7000人の踊り子たちが参加しました。
独自の衣装と振り付けで街を練り歩く踊り子たちが両手に握るのは、祭りに欠かせない鳴子です。
ところがこの鳴子、華やかな祭りの舞台裏である問題が。
高知商工会議所 よさこい祭振興会統括・岡林成海さん:
バチのところが破損して、リペアがきかないような状態。そんなものになってくると廃棄する。
使えなくなり、廃棄される鳴子。
さらに、衣装や流行に合わせて新調されるため、その多くが行き場を失っていました。
そこで地元の商工会議所は、このような鳴子約300個を集め、アップサイクルするプロジェクトをスタート。
全国から募集した8組のクリエイターたちが、15種類の個性的な作品を作りました。
かばんや財布などハンドメイドの革製品作りで人気のyokiさんもプロジェクトに賛同した1人。
これまで木材を加工したことがほぼなかったというyokiさんですが「ワクワクした。新しい挑戦ができるので」と話します。
yokiさんはまず、金づちで分解し、表面の塗装を削り落とします。
そこに漆を塗って穴を開け、鹿や牛の革で作ったかばんを紐でつなぐと、肩に掛けて使える巾着袋として生まれ変わりました。
バッグを揺らすとカチャカチャと音がするのは、鳴子の音を残したいというyokiさんのアイデアです。
レザーソムリエ プロフェッショナル・yokiさん:
新しく形を変えて活用されることが、僕の前に鳴子を作った人から僕のところへ来て、また次の方へ移っていくのがすてきだなと思う。
香川県在住のクリエイターは、花を飾る一輪挿しを制作。
色あせてしまった表面の塗装を削り、漆を重ね塗りして鮮やかな朱色と光沢を新たに生み出しました。
岐阜県在住のクリエイターは、フォルムを生かしたうちわを制作。
鳴子の板を極限まで薄く削り、それを扇形に組み合わせた作品です。
高知商工会議所 よさこい祭振興会統括・岡林成海さん:
鳴子は踊り子のいろんな思いや思い出が詰まっているもの。このプロジェクトは本当にうれしく思う。
取り組みをサポートした株式会社クリーマの重岡空さんは、「クリエイターと祭りをつないで新しい作品を誕生させることで、祭りの魅力を発信するとともに、未来へつなぐ力になれたらと思う」と語りました。
祭りとクリエイターがつなぐアップサイクルの動き。
ほかの祭りにも広げていきたいということです。
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