東京の合計特殊出生率が初めて1を切って0.99となるなど少子化が深刻化しているが、東京商工会議所は21日、東京の若者を対象にした「結婚・出産意識調査」の調査結果を発表した。

調査で浮き彫りになったのは、結婚する・したいという思いを抱きながらも良い出会いに恵まれず、子どもも2人以上欲しくても現実的には1人か0人と、理想と現実にギャップを抱える若者達の姿だった。

調査は東京都内の事業所で働く18歳から34歳の男女2198人を対象に行われた。

結婚については、独身者の78.7%が「いずれ結婚するつもり」と回答。既婚者を含めると結婚に前向きな若者は全体の86.1%にのぼることが分かった。また勤務先企業規模が大きく、個人年収が高いほど結婚希望者が多い傾向があり、年収300万円台以下の結婚希望者が73.7%だったのに対し、700万円台以上は80.6%だった。

結婚への障壁については、「良い出会いが無い」が42.7%で最も多かった。特に交際相手のいない独身者の67.3%が「出会いがない」と回答している。交際相手のいない独身者は、「婚活が面倒」(37.1%)「異性とのコミュニケーションに不安・接し方がわからない」(20.9%)の割合も、交際相手のいる独身者に比べて高かった。

独身者の男女別で見ると、男性は「転勤や単身赴任の可能性」(20.0%)、「職場に異性が少ない」(19.4%)との回答が女性に比べて多く、女性は「家事や育児の負担増」(29.5%)「キャリアに支障がでる不安」(17.4%)が男性に比べて多くなっていた。

出産については、全体の76.4%が「理想的な子どもの数」は「2人以上」と回答した一方で、「現実的に持てると思う子どもの数」が2人以上の割合は44.2%に留まった。「現実的に持てる子どもの数」は、全体の55.7%が0人もしく1人と回答し、理想とのギャップが大きい事がわかった。

子どもの数については、収入や勤務先企業の規模が強く影響していた。収入が多く勤務先企業規模が大きいほど子どもの数が多くなる傾向で、子どもを2人以上現実的に持てると考える人の割合は、年収300万円台では26.4%、400~600万円台で39.9%、700万円台以上で48.0%だった。

一方、年収300万円以下の場合、子どもの理想の人数を0人とする人は24.6%にのぼった。

子どもを持つ事への障壁については、「経済的な不安」が74.1%と、他の理由に大きく差をつけ最多だった。次いで「家事や育児の負担増」(39.2%)「自分の仕事へのパートナーの理解と家事育児の協力姿勢」(33.7%)など、共働きが増えている事を反映し、子育ての負担やその分散にもハードルを感じていることが伺えた。

男性は「長時間の労働」(36.4%)、「転勤や単身赴任の可能性」(26.9%)という仕事に関する不安が女性に比べて多く、女性は「家事や育児の負担増」(45.9%)」「キャリアに支障がでる不安」(34.5%)が男性よりも多かった。

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