宮城県の海沿いを南北に走る貞山運河

宮城県の仙台湾のわずかに内陸を南北に走る「貞山運河」は、全長が30キロメートルあまりと日本で最も長い運河だ。江戸時代に仙台藩の初代藩主、伊達政宗が仙台の城下町を築く木材を運搬するために開削したのが始まりとされる。

北は塩釜湾(塩釜市)、南は阿武隈川河口(岩沼市)まで伸びる現在の運河が完成したのは明治時代のこと。今では運河沿いで多くの人が魚釣りやサイクリングなどに興じ、市民の憩いの場となっている。歴史ある貞山運河を観光資源に育てようという機運も高まっている。

太平洋が間近にあり、2011年の東日本大震災では閖上(名取市)や荒浜(仙台市)など運河沿いの町が津波に襲われた。復興の過程で水辺を生かしたにぎわい創出の取り組みが始まり、運河の近くには複合商業施設「かわまちてらす閖上」や複合リゾート施設などが開業した。

震災の記憶と教訓を後世に伝えていくため、周辺には名取市震災復興伝承館や仙台市立荒浜小学校などの伝承施設がある。震災前の運河沿いの風景を写真や模型で知ることができる。運河を散策する際にはぜひ足を運びたい。

(仙台支局長 堀直樹)

アクセス 閖上地区はJR仙台駅から電車・バスを乗り継ぎ40分ほど。
関連情報 運河の景観を船から楽しめる周遊船を名取市などが運航している。

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