AIの技術が広がりをみせています。岡野アナウンサーの取材です。

私たちが日頃、利用する薬局ですが、そこで働く薬剤師の負担を軽減する新たな取り組みが始まっています。現場を訪ねるとデジタルとアナログがコラボした様々な工夫がありました。

(岡野アナ・オール薬局ユメモール西条店 佐島由貴薬剤師)
「きょうはどうされましたか?」
「ちょっと頭が痛くて」
「熱はありますか?」
「昨夜計ったところ39度まで上がって」
「自宅では何か薬を飲みましたか?」
「家に解熱剤があったので解熱剤を飲みました」
「そうですか。分かりました」

「調剤薬局でよくあるこのやり取りその時、みなさんはこう思っていませんか?
「それ、さっきお医者さんにも言ったんですけど」
実は、この薬剤師さんとのやり取りには大切な意味があるんです」

薬剤師は患者の生命や健康上のリスクの発生を未然に防ぐ役割を担っています。
薬剤師が「処方箋に疑わしい点がある」と判断した場合には、法律上、発行した医師等に問い合わせることができます。
調剤薬局を経営する糸賀社長は、薬剤師と患者との会話が大切だといいます。

(マイライフ・糸賀誠社長)
「ずっと片頭痛で何年も困っていた患者がいた。その方の生活習慣としてコーヒーや緑茶を日々ものすごい量を飲んでいた。そのことを薬剤師が発見してそれでコーヒーと緑茶を全てやめてもらった。そうしたら片頭痛が治った。問診や何気ない話の中でも色々なことがわかる」

(岡野アナ)
「この薬局では詳しい問診を行うための工夫がこらされています。このように窓口が個室になっていて中に入ると両側に仕切りがあります。プライバシーが保たれた中で話をすることができます」

今、この問診や会話をデジタル技術を活用するいわゆる「DX化」の取り組みが始まっています。
薬剤師と患者の会話を録音し、音声確認AIと生成AIで薬の履歴を自動的に作成する取り組みです。
先ほどの薬剤師さんとの会話は、こんな形で、まとめられています。
正確に文字化されていますが、それだけではないんです。
このシステムには、驚きの機能があるのです。

(オール薬局ユメモール西条店・佐島由貴薬剤師)
Q:要約とは何ですか?
「要約は患者が話した内容を薬歴に記載するときにS・O・A・Pに分けて記録する方法です」
「S」で書かれているものは、患者が話した内容。
「O」は検査の結果などの患者の現状を表しています。
「A」はSとOから薬剤師が考えた内容を記載しています。
「P」には服薬指導の内容が書かれているんです。
会話の内容を生成AIが瞬時に要約して、仕分けするというシステムです。
このような作業のDX化は薬局の仕事を大きく変化させます。

(マイライフ・糸賀誠社長)
「日々、患者に投薬しますが、薬歴を記入する作業に1日のかなりの時間を要していた。こういうふうなことがあれば非常に業務改善になる」

さらに糸賀社長は、会話の内容をデータ化するシステムは、薬剤師のレベルアップにつながると話します。

(マイライフ・糸賀誠社長)
「コミュニケーション能力やプレゼン能力、患者への洞察力もレベルが高い薬剤師でない限り薬歴に記載されない。とにかく患者と話をしないと薬歴に記録されない」

労働力不足の解消と医療の質の向上を実現するシステム。
将来的には医療現場全体への普及を視野に入れています。

(マイライフ・糸賀誠社長)
「薬局のみならず病院向けも開発しようと今進んでいます。パソコンに向かって医師がずっと打つ。患者に向かって会話ができない。このようなものをようやくクリアできる。そういうコンテンツになると思っています」

<スタジオ>
このシステムの今後は…。
およそ半年間の実証実験を重ね、今月15日から全店舗でこのサービスが始まります。また、全国の医療機関に普及したいということです。薬局だけでなく医療機関全体に普及させたい思いがあるとお話しされていました。

そして今後、このシステムを生かすためにポイントは…。
薬剤師にはこれまで以上に情報を収集する「会話力」が必要だということです。
AIと人が役割を分担して行うシステム。保井先生はどうご覧になりますか?

(コメンテーター:叡啓大学・保井俊之教授)
「私の下の息子が薬剤師なんですが、薬歴の記入とか飲み合わせチェックに凄く時間がかかるんだそうです。生成AIの力を利用してその患者さんとの対話や宅配のようなソフトなサービスに時間が割けるようになれば素晴らしいことです」

今後も進化し続けたいということで、注目したいと思います。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。