気になる台風の今後の進路予想など、最新情報を気象予報士の浅田麻実さんが解説します。

【浅田麻実 気象予報士】
台風の動きを雲の様子で見ていきます。まず台風10号は26日正午、西日本の南の海上にありました。そこから形に注目して見てみていくと、だんだんと丸くきれいな円の形になってきました。中心付近には小さな“目”も現れてきました。形がぎゅっと丸くて目を持っている台風というのは、発達して危ない台風ということになります。

発達していて動きが遅いということで、影響が長引く恐れがあります。台風の動きがだんだんゆっくりになってきているところではありますけれども、場所に関わらず各地で影響が出てしまう恐れがあります。

【浅田麻実 気象予報士】
台風の進路は、27日昼現在、奄美大島周辺を進んでいて、赤色の風速25メートル以上の暴風域を伴っています。この後、発達しながら北上し、きのうの予想よりもさらに西回りのコースを通る見通しです。30日(金)の時点で九州から中国・四国地方にかけて、31日(土)の時点で西日本から東日本にかけて、台風の予報円内に入っています。

予報円が大きいということは、台風が強くなるわけではなくて、この中のどこかに台風の中心が進みそうだということを示します。31日(土)朝の時点で、一番西のコースだったら中国地方にあるかもしれないし、東寄りのコースだったら関東地方に進んでいるかもしれないということです。台風の進路が定まってくれない状況になります。週末にかけて影響が長引くかなというところです。

【浅田麻実 気象予報士】
台風は自分で動きを定めることができません。周りの風に流されて自分の進路を定めていくのですが、進路を定めるのが『高気圧』です。高気圧がよく張り出していると、台風は高気圧に阻まれてまっすぐ北上していけないことになります。先週の時点ではもっと東寄りのコースになる見通しでした。その時は高気圧が東に引っ込んでいて、台風の進む道が開けているかっこうでしたので、近畿や東日本の方まで台風が進んでくる見立てだったんです。

これが先週末ぐらいから高気圧の張り出しが強まってきていて、27日も一段と高気圧の張り出しが強まって、台風がさらに西回りでやってくるかもしれない状況になっています。北上のタイミングがかなり遅れています。

この先、高気圧が張り出しているものの、いずれは北に上がってくる見通しで、北に上がってくるときに台風を流すのが『偏西風』です。大陸の方から強い西風が吹いていて、台風が偏西風に乗ると東寄り、日本列島に沿うようなかっこうで進むことになります。

【浅田麻実 気象予報士】
今回、台風の速度が遅いので、被害が長引くことに加えて、台風が強まってしまうかもしれません。台風のエネルギー源は暖かく湿った空気、いわば水蒸気です。日本付近の海の温度を見ると、オレンジ色で示された海面水温27度以上のところが、太平洋から日本海の東北まで、かなり海水面の温度が上がっています。台風は海面水温27度以上で勢力を強めるといった特徴があります。西日本の南の海上は場所によって29~30度ぐらいという地域もあります。暖かい海上を通っていくので、勢力を強めて発達してしまうことになります。

上陸して陸の上を通るとエネルギー源となる水蒸気の補給が弱まるので、だんだん勢力が落ちていくとことはあります。進路図に台風の強さの階級が示されていますが、例えば29日(木)まで『非常に強い』勢力で、30日(金)には1つ下のランクの『強い』勢力に変わっていく見通しです。ただ今回の台風、『強い勢力』『非常に強い勢力』で接近してくる、かなり危険なものですので、階級が変わっても決して安心できるものではありません。

過去に大きな被害をもたらした台風、例えば死者14人を出した2018年の台風21号と比べて、今回の台風の強さはどうなのでしょうか?

【浅田麻実 気象予報士】
今回の台風はもしかしたらこの時の台風よりも少し発達した状態で近づいてくるかもしれません。2018年の台風21号が上陸したとき、950ヘクトパスカルでした。中心の気圧を表すヘクトパスカルの数字が低いほど発達して危ないのですが、今回の台風10号は940ヘクトパスカルという強い状態で九州に近づいてくる恐れがあります。

これから先、どの地域がどんな注意をしなければいけないか、警戒時間帯をまとめています。

【浅田麻実 気象予報士】
まず暴風に関して。台風が近づいてくるので、西側の地域から次第に赤色で示した警戒の時間帯が出てくる見通しです。九州北部では28日(水)に瞬間的には50メートルの非常に危険な風が吹くかもしれません。その後、四国地方で29日(木)に、中国・近畿・東海でも30日(金)ごろには暴風となる恐れがあります。

そして大雨、雨が降り続く期間が非常に長く、特に東海地方は警報級の可能性が高いところが31日(土)まで続いています。

【関西テレビ 神崎博報道デスク】
今回「ノロノロ台風」と言われていますが、かつて同じような動きをしていたのが、2011年の台風12号がありました。秋口の台風は時速30キロぐらいが普通なのですが、その台風12号は時速10キロでノロノロ来たので、3日間紀伊半島に雨雲がかかり続け、東京で1年間に降るぐらいの雨が3日間で降った。奈良とか和歌山ですごく大きな被害が出て、80人以上の方が亡くなる被害が出ています。

【浅田麻実 気象予報士】
今回の台風もスピードが自転車並みと言われていて、影響が長引く恐れがあります

大きな被害が出る恐れがあります。今後の進路には十分お気をつけください。

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2024年8月27日放送)

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