特集は思い出の写真展です。2024年6月、95年の歴史に幕を下ろした塩尻市(長野県)唯一の銭湯。最後の営業の様子を写した写真展が開かれました。そうした中、「後継者探し」に動きがあり、「復活」の兆しも見えてきました。


■閉じた銭湯の脱衣室で「写真展」

やわらかいお湯が張られた浴槽。

窯に薪をくべる裏方の作業。

6月に閉じた銭湯「桑の湯」の写真です。


昭和の面影が残る建物はそのまま残されていて週末、脱衣所で写真展が開かれました。

安曇野から:
「この雰囲気が好きで、いいお風呂だった。特に薪焚きの風呂だったから体が温まった」

市内から:
「すてきですね、本当に懐かしい」

ついこの前までにぎわっていた銭湯の光景がよみがえります。


桑の湯・桑沢弘幸さん:
「今もうお風呂はできない状態でいますが、こういう形でも客にちょっとでも喜んでもらえたのがうれしい」


■体力を考え6月に閉じることに

桑の湯は昭和4年、製材業を営んでいた弘幸さんの曽祖父が廃材を活用して始めました。

昭和、平成、令和と親しまれてきましたが、設備の老朽化や弘幸さんや母・節代さんの体力を考え閉じることにしました。


桑の湯・桑沢弘幸さん(6月):
「もう無理だという決断のつらいところで、苦しいところですね、胸が痛みます」

「続けてほしい」との声が相次ぐ中、地元の企業からは「後継者探し」の提案がありました。

桑の湯・桑沢弘幸さん(6月):
「跡を継いでいただければ、自分としては一番うれしい」


■最後の日、多くの客が「入り納め」

後継者が現れることに期待しながら、最後の営業を迎えました。

多くの客が「入り納め」に―。


午後10時、閉業のあいさつ―。

桑の湯・桑沢弘幸さん(6月30日):
「塩尻の銭湯の灯を消さない方が必ず来てくれると信じていますので、その人たちが来ても変わらず桑の湯を愛していただきたいと思います。本当にありがとうございました」


■久しぶりにのれんかけて「写真展」

あれから、およそ2カ月。

久しぶりに桑の湯に、のれんがかかりました。


期間限定の写真展。(8月24、25、31日、9月1日)

撮影したのは、名古屋市のカメラマン駒田匡紀さんです。

桑の湯に最後に興味を持ち、営業終了まで3日間をカメラに収めました。

約100点を展示―。


カメラマン・駒田匡紀さん:
「皆さんとてもいい笑顔だったので、このまま公開せずに持っているだけだともったいないなと。お風呂もお客さまもすごく大切にされているのが伝わってきましたし、同じようにお客さまも大切にされているんだなというのが伝わってきた」


■営んでいた桑沢さん「僕の宝物」

桑沢弘幸さん:
「僕の宝物になった」

客:
「最高」

市内から:
「薪の焚いているのもいいし、端からいい(写真)。最高、見に来てよかった。こんなのつぶしちゃうのはもったいない」

安曇野から:
「たくさんの人が来ていた銭湯なので、ぜひ復活していただければありがたい。特に塩尻には銭湯がなくなってしまったので(復活を)すごく楽しみにしています」


■銭湯の後継者の応募も

この2カ月の間にはうれしい知らせも。後継者募集に7件も応募があり、弘幸さんは「なるべく早く後継者を決めたい」と話しています。

桑の湯 ・桑沢弘幸さん:
「写真1枚1枚にいろんな思いがありますし、ここに銭湯があった、営業していたと皆さんの心の中に少しでも残って、銭湯を継いでくれる人につながればいいなと」

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