長崎に原爆が投下された時、国が定めた「被爆地域」の外にいたとして被爆者と認められていない「被爆体験者」が被爆者認定を求めた裁判で長崎地裁は原告の一部を被爆者と認め、県と長崎市に対し、被爆者健康手帳を交付するよう命じました。

KTN記者
「最初の提訴から17年、“被爆者と認めてほしい”という『被爆体験者』の訴えに司法はどう向き合うのでしょうか」

原告団長 岩永千代子さん(88)
「(一部の「被爆体験者」は)腹が膨れて死んだ。その人たちは何に支援も受けられていない、何の調査もない」

この裁判は県内に住む「被爆体験者」44人が(※うち4人死亡)県と長崎市に対し、被爆者健康手帳の交付などを求めたものです。

争点は、被爆者援護法が定める被爆者の定義「身体に原爆放射能の影響を受けるような事情にあった者」に「被爆体験者」が該当するか否かでした。

原告側は「原爆放射能による健康被害を否定できなければ被爆者」とした2021年の「黒い雨」訴訟・広島高裁判決を踏まえ、「原告は、原爆投下後に降った灰などの放射性降下物の影響を受けていて、健康被害を否定できない」と主張、被爆者と認めるよう訴えていました。

KTN記者
「一部勝訴、一部勝訴です。原告の一部に被爆者健康手帳を交付する判決が言い渡されました」

長崎地裁の松永晋介 裁判長は「『被爆地域』の外の一部のエリアでは、いわゆる「黒い雨」など、原爆由来の放射性降下物が降ったと認められる」などとして、原告44人のうち15人を被爆者と認め、被爆者健康手帳を交付するよう県と市に命じました。

認められたのは東長崎地区だけで、原告団長の岩永千代子さん(88)は認められませんでした。

原告団長 岩永千代子さん
「正直言って落胆」「なぜ東側の人だけという、それこそ科学的合理的な根拠が全く分かりません」

一方、現在の長崎市かき道で原爆に遭った浜田武男さん(84)は被爆者と認められました。

浜田武男さん(84)(※「浜」は「まゆはま」)
「広島は全部認められているでしょ、長崎はちょっと違う、となっている。納得が(できない)喜びも何もない」

判決について原告側の弁護士は…

足立修一 弁護士
「広島高裁判決をかなり後退させた内容」「分断を持ち込む極めて悪質は判決」「被爆の実相を見ようとしていない」

岩永千代子さん
「納得いかない裁判ですから、ギリギリ自分の命がある限り頑張ります」

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