行楽シーズンにせっかくのきれいな景色を見たいのに、何だかぼやける…。その症状、白内障かも。白内障は目がかすむ、物が二重三重に見える、光が眩しいなど、さまざまな症状が現れるが、年間7000件以上の白内障手術を行う病院の医師は「70歳代には8割程度の方が白内障になります」と語る。白内障は、年齢を重ねれば多くの人が経験する症状なのだ。

白内障手術を受けたきっかけは…

治療として国内では年間150万件以上の手術が行われている白内障。術後は見え方が一様に「別世界」になるという。いったいどんな手術なのか。実際に手術を受けたことがある人たちに話を聞くと、ある女性は「突然、視界がボーッとして『見えなくなるんじゃないか』という不安から」手術を決めたと語る。

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また日頃、車を運転しているという男性は「夜、目がかすんで、対向車の光が眩しい。運転しているときに人が通っているのが見えず、気付くのが遅れたときはヒヤッとした」と話す。男性の目は、眼科で調べた結果、白内障が進んでいたという。

白内障とはどんな病気?70代で80%、80代では…

白内障とは、いったいどんな病気なのか?白内障に詳しい林眼科病院の林医師は「人間の目はカメラに例えられる。カメラのレンズの部分にあたるのが水晶体。光が手前から入って奥の網膜に当たるまでの光の経路が水晶体。ここが、さまざまな原因で濁ってきて、光が通らなくなったり散乱したりするのが白内障」と説明する。

白内障の主な症状は、最も多いのが「かすみ目」。そのほか、視界が暗く感じたり、光が眩しく感じたりする。一般的には60歳を超えると進行し始め、70代で80%以上、80代では、ほぼ全ての人に症状が出るという。

白内障はゆっくりと進行し、痛みも無いので、症状があっても我慢している人が多い。林医師は早期の検査を促している。

白内障手術を受ける患者に密着

今回、取材班は白内障の手術を受ける82歳の女性に密着。この女性は1週間ほど入院して両目の手術を受ける予定となっている。「最近、遠くが見えにくくなって、字も見えにくいし、それで思い立って」と手術を受けるきっかけを女性は話してくれた。以前は友だちとグラウンドゴルフなどを楽しんでいたという女性。手術して物が見えるようになったら、いろんなことがしてみたいと話す。

白内障手術は眼の“レンズ交換”

術前検査で女性に異常がないことを確認した林医師。「気になることは?」と尋ねる。「初めてだから緊張します」と答えた女性に「手術中はリラックスするガスが流れていますから、鼻から深呼吸していればいいので、あとはボーッとしといて下さい」と安心させる言葉をかけた。

そしていよいよ手術。まずは点眼麻酔。次に不安や緊張を和らげる笑気麻酔と続く。今回、行われるのは「白内障・眼内レンズ手術」。光を遮り白内障の原因になっていた水晶体のなかの混濁した核皮質を吸い出し、そこに眼内レンズを挿入する手術だ。

「水晶体の中身がかなり固くなっているので、超音波で振動する機械で、超音波によって核を破砕していく。細かく砕いて、機械についている吸引の穴で、破砕したものを吸引していく。そしてアクリルでできた眼内レンズを代わりに挿入しておしまい」と林医師。これで1回目の手術は終了なのだ。翌日には眼帯も外れ、見えるようになるという。3日後には、もう片方の目の手術も行い、約1週間で退院となる。

術後は「色がきれいに見える」別世界

10日前に手術を受けた女性。手術前と後の見え方について「全然、色がきれいに見えるのと感覚が違います。よく見えます。私は車が大好きだから、まだ頑張りたいので良かったなと思っています」と再び見える喜びに表情も声も弾んでいた。

林医師は、白内障について症状が進む前の早めの手術を勧めている。「進行するとかなり固い水晶体を取り除かないといけない。かなりエネルギーが必要になったりすると、ダメージもその分周りの組織に与えてしまう。ダメージが術後の見え方に影響してしまうことも可能性としてはある。かなり進行する前に70歳~75歳くらいで手術を受けるのことが大事」だという。

あなたの目、かすんでいませんか?

(テレビ西日本)

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