創業71年の靴下メーカー「西垣靴下」(奈良県大和高田市)のグループ会社「エコノレッグ」が、同社で初めてとなる働く女性向け新ブランド「アシゴト」を創設した。女性社員6人が集まり、動きやすさだけでなく、デザイン性も重視した商品を開発。働く女性が日々快適に着用できるものに仕上げた。地場産業で活躍する女性のアイデアが詰まっている。【木谷郁佳】
「自分たちが履きたい靴下を自分たちで作ってみたら」。2023年9月、中小企業を支援する「広陵高田ビジネスサポートセンター(通称・ココビズ)」が同社に助言したことをきっかけに「くつした女子プロジェクトチーム」が発足した。メンバーは企画、製造、販売部門で働く20~50代の女性社員6人。西垣和俊社長は「女性の視点が大きな武器になる」との期待を込めた。
丈夫で疲れにくいといった機能性の高い商品を取り扱う同社だが、その分おしゃれなものは少なかった。「パンプスを履くとき、足の甲に(靴下の)シワができないようにしたい」「機能も必要だけど、外見を悪くしたくない」「靴との相性はどうだろう」。女性だから気づく視点を大事に開発に取り組んだ。
販売担当の社員は日ごろからお客さんの声を聞いているため、ニーズを把握している。一方で、製造担当の社員は、自社の機械で何ができるのか判断できる。それぞれの担当の知識や経験を生かして、形にしていったという。販売の山村千絵さん(26)は「企画や商品開発に携わるのは初めてだったので難しかった」と振り返った。
さらに良い商品にするために、明治安田生命保険奈良支社の女性社員約70人にも協力してもらった。複数の商品を実際に使ってもらい、アンケート形式で意見を募って商品の改善に役立てた。約1年かけて、エコノレッグの技術を最大限に生かした、働く女性に似合う五つの商品を完成させた。
パンプスを履いても滑らない「クルーソックス」は母指球(親指の付け根部分の膨らんでいる部分)の位置に摩擦力の高い糸を編み込んだことで、滑りにくくした。足の負担を軽減できるうえに、シンプルなデザインだ。足袋型の靴下は指が曲がる外反母趾(ぼし)を防止するテーピングを施しているが、生地を薄くして目立たないように工夫した。土踏まず部分にクッションを入れているので足に優しい。他にも編み込んだウール混が足首を温める温活靴下▽圧迫感を減らしながら無理なくはける着圧ソックス▽肌に優しいレーヨンシルクのウオーマー――など、いずれも機能性とおしゃれが妥協なく両立した商品に仕上げた。
プロジェクトリーダーの矢羽野緑さん(57)は「ブランドを通して地場産業で活躍する女性の姿を発信していきたい」と話していた。販売は2日から。エコノレッグのウェブサイトなどで購入できる。
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