米東部マサチューセッツ州のNPOで保護されているメスのビーバーの「ニビ」=NPO提供・AP

 米東部マサチューセッツ州で、2年前に保護されたメスのビーバー「ニビ」の運命が話題になっている。州当局は「野生に返すべきだ」と主張したが、ニビを育ててきたNPOは「野生にはなじめない」と懸念。ネット交流サービス(SNS)で人気者になったニビの処遇は法廷闘争に持ち込まれたが、州知事の「介入」で今後も保護されることになった。

 米メディアによると、ニビは2022年、生後間もない時に親とはぐれているところを路肩で保護され、野生動物のリハビリを手がけるNPOで育てられてきた。NPOはSNSでニビが育つ様子をアップし、話題を呼んだ。今年7月には学校や図書館で動物愛護やふれ合いの良さを伝える「教育動物」の役割を担えるように州当局に申請した。

 ところが、州当局は9月に申請を退けた上、「保護した動物は本来、野生に返すものだ」と主張した。NPOは「他のビーバーとなじめるように努力してきたが、ニビは適応するのを嫌がった。人間と暮らすことに慣れてしまっている」と反対したが、州側が応じなかったため、保護継続を認めるよう求めて裁判に訴えた。

 インターネットでは、ニビを野生に返すのをやめるよう求める請願に3万件近い署名が集まった。こうした状況を受けて、ヒーリー知事は3日、ニビを「教育動物」として、NPOが引き続き保護することを許可した。

 知事は声明で「ニビは、私を含む多くの州民の心をつかんできた。自然保護のため、ニビがより多くの人々の気持ちを動かしてくれることを願っている」と述べた。【ワシントン秋山信一】

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