2人の高校生が「高校生手話パフォーマンス甲子園全国大会」に宮崎県勢として初出場し、準優勝に輝いた。聞こえない人のための手話だけでなく、聞こえる人同士が会話する手話、世界各国の人たちと会話する手話など、「手話の魅力を伝えたい」と手話に打ち込む2人の姿を取材した。

初出場で準優勝

宮崎県立五ケ瀬中等教育学校4年の阿萬暖々果さんと宮崎日大高校1年の西田桜和さん。

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2人は2024年9月に鳥取県で開かれた「高校生手話パフォーマンス甲子園全国大会」に、宮崎県勢として初めて出場した。

「高校生手話パフォーマンス甲子園」は、手話を使った歌やダンスなどで表現力を競う大会。全国から58チームがエントリーし、16チームが予選を通過した。

2人は一青窈さんの大ヒット曲、「ハナミズキ」にのせて、地震による津波で亡くなった母と残された娘の思いを手話で表現。宮崎県勢として初出場ながら、ダンス・歌唱部門で見事、準優勝に輝いた。

手話でコミュニケーションをとりたい

西都市・妻北小学校で同級生だった2人。手話をはじめたきっかけは…。

五ケ瀬中等教育学校4年 阿萬暖々果さん:兄が難聴なので、兄とコミュニケーションをとりたいと思ったときに、積極的に手話を覚えようと思ったのがきっかけだった。

生まれたときから日常の中に手話があった阿萬さん。

6歳で手話歌に初挑戦し、12歳のときには手話検定1級に最年少で合格した。

五ケ瀬中等教育学校4年 阿萬暖々果さん:兄だけでなく、ろう者の方や耳が聞こえない友人と出会って、手話って多くの人たちと出会うコミュニケーションツール・言語なのだと思った。コミュニケーションが円滑になっていくのがうれしくて、今も勉強を続けている。

兄 阿萬和春さん:いつも感謝しています。手話を使ってくれることを。

そんな2人の姿を見て、西田さんも手話に興味をもち、魅了されていった。

宮崎日大高校1年 西田桜和さん:ののちゃんの家に来たときは、手話が飛び交っている。まったく手話はわからないけど、顔や体の使い方でなんとなく分かる。勉強したら分かるようになると思って、ちょっとやってみようと思ったのが手話を始めたきっかけだった。

若い二人の発信力に期待

現在、同じ手話サークルで活動している2人。大会への練習を見守ってきた手話サークルの加持千佳さんは、その発信力に期待している。

西都手話サークルひまわり 加持千佳会長:手話を学びたいという人はいっぱいいると思うが、若い人たちが手話に魅力をもって広めてくれる、県内でも大切な存在だと思う。

そんな2人を力強くサポートしているのは暖々果さんの母、清香さん。手話通訳士として県知事の記者会見でも活躍しているが、今では暖々果さんから問いかけられることも。

母・阿萬清香さん:県知事の記者会見の映像を見て、「これはどうだったんだろうか」というか、アドバイスやダメ出しがあったりする。暖々果自身の成長を感じて、嬉しいと感じている。

五ケ瀬中等教育学校4年 阿萬暖々果さん:聞こえるわたしと、聞こえる母が手話で会話する、みたいな手話が世界共通語になったらいいと思うし、私は日本手話だけ勉強しているが、別の地域の手話も勉強して、手話を通して世界各国の人たちと仲良くなれたらいいと思う。

全国大会には、ろう学校の生徒も出場していた。大会前に交流会で交流を深めたほか、2人は大会後、「演劇・コント・ポエム等部門」で同じく準優勝に輝いた、大宮ろう学園(埼玉)の生徒たちと、ホテルで打ち上げをしたという。

2人とも、とても楽しかったと話していた。特に西田さんは、耳が聞こえない人と手話で会話した経験が少ないこともあって、「もっと手話を勉強したい」と、さらなる刺激を受けていた。

手話は、耳が聞こえる人にも、聞こえない人にも、思いを伝えることができる大切な言語。普及への願いを込めて、2人はこれからも手話の魅力を伝えていく。

(テレビ宮崎)

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