富山市ファミリーパークへ転出するオク(3月24日撮影)=京都市動物園提供
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 京都市動物園(同市左京区)は25日、同園生まれで13歳10カ月の雄のアムールトラ「オク」が、富山市ファミリーパークへ移ると発表した。オクは、9日に母親の「アオイ」が死んで以降、同園が飼育する唯一のトラだった。転出すると、1903(明治36)年の開園以来続いてきたトラの飼育に幕が降りる。

 飼育動物の生をより尊重する「動物福祉」を掲げる同園は、2020年にまとめた将来構想で、広さが十分ではない「もうじゅうワールド」は小型、中型のネコ科に絞っていくと決めている。繁殖機会を逃したオクについてはより良い受け入れ先を探していた。同年1月には、国内での飼育最長記録をつくった雄ライオン「ナイル」が国内最高齢で死に、ライオンの飼育も終えている。

 オクが転出すると、もうじゅうワールドは、雄のジャガー1頭▽雌雄のオオヤマネコ2頭▽雌雄のツシマヤマネコ4頭(展示は1頭)――となる。オオヤマネコは雌雄を交代で展示していたが、今後はトラの動物舎を使って2頭同時に展示し、繁殖にも取り組むという。

 オクの富山市ファミリーパークへの移動は5月14日を予定し、京都での展示は同12日午前まで。パークには、アオイが死んだために国内最高齢のアムールトラとなった19歳の雌1頭がいる。同パークは「夏は京都より涼しく、別の1頭がいることは刺激になる。より良い環境で健康に暮らしてもらいたい」とする。

 京都市動物園は開園当初からこれまで40頭超のトラを飼育。戦禍の1944年3月には殺処分せざるを得なかった歴史を持つ。現在のトラ舎には空中歩廊があり、トラが頭上を歩く迫力が来園者に人気だった。【南陽子】

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