会見する杉村栄一・代表理事(左端)ら「日本保育連盟」の理事=9日、都庁(楠城泰介撮影)

東京都内の保育事業者や学校法人などが今月設立した一般社団法人「日本保育連盟」(杉村栄一・代表理事)が9日、東京都庁で記者会見を行い、保育園などで増加している発達障害や不適切保育などの課題に理解を深め、問題に対応できる「認定保育士」制度を創設することを明らかにした。保育現場では多様化する子供に対応する知識を持った保育士は少なく、資格を付与することで定着率の向上や待遇改善も狙う。

同連盟は、5月に大学教授や保育事業者らによるワーキンググループ(WG)を立ち上げ、年度内に研修カリキュラムを作成。来年4月の制度開始を目指し、研修などを通じた「認定保育士」の資格取得は、10カ月程度を見込んでいる。

ADHD(注意欠如・多動性障害)など発達障害の問題を抱える子供は、認知度の高まりとともに近年増加傾向にあるが、同連盟によると、乳児期から幼児期に移行する際の18カ月健診前に入園したり、入園面接がないため、保護者の認識のないまま入園する園児も少なくないという。未就学教育には特別支援学級もなく、こうした園児に対応できる専門知識を持った保育士の育成を喫緊の課題とする。

また、深刻な保育士不足も背景にあるという。求職者1人当たりの求人数を示す有効求人倍率は近年、2~4倍近くで推移し、全職種平均の1・44倍(令和5年1月)を大きく上回る。こども家庭庁によると、給与(3年)は月平均30万9千円で、全産業平均の35万5千円より低い。同連盟は、認定制度の導入により、資格に見合った評価を受けることができるようになれば待遇改善にもつながるとしている。

元都福祉保健局長の杉村代表理事は、保育の分野には基本的な保育の知識を有した「保育士」の資格しかなく、専門性の担保は急務だとして、「保育業界にふさわしい制度の在り方を考えていきたい。待遇の改善、離職率の抑制といった課題の改善は近年ますます重要になっている」と述べた。

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