香川はイヌの殺処分が全国最多を記録し、身近な動物の命とどう向き合うかという問題で揺れてきました。そして今は・・・。不幸な野良猫を減らそうと最前線で活動を続ける団体を取材しました。

■連れてこられる野良猫
「ここに順番に…」

高松市御厩町の動物病院、香川スペイクリニック。2022年10月に開院しました。

■受け付けの様子
(ネコを連れてきた人とボランティアのやり取り)
「じゃあお願いします」
「手術が終わったら連絡しますね」

朝から多くの人が病気のネコの具合を診てもらいに来たのかと思いましたが…。なんだか様子が違います。

(野良猫を連れてきた人は…)
「自宅の方でウロウロしてきたのを捕まえてきた。捨てネコにエサをやる人がいるし、繁殖しネコが増えるのがかわいそう。心苦しいから避妊・去勢して数を増やさないようにしている」

ここはネコとイヌの避妊や去勢を専門とする動物病院です。1年目は約1000匹、2年目は約2000匹の手術を行っていて、今は月に約200匹のペースですが、そのほとんどがネコ。

この日、5匹のネコを連れてきた人から話を聞いてみると…。

(5匹連れてきた人は…)
「月20~30匹くらい連れてきている。(Q:手術費は?)インスタグラムで費用を集めてTNRに使っている」

TNRとは捕獲(Trap)・不妊手術(Neuter)・元の場所に戻す(Return)の頭文字です。つまり野良猫を捕獲して不妊手術を行い、住んでいたエリアに戻す取り組みです。イヌは条例で元の場所に戻すことはできませんが、ネコの保護活動の一つとして注目されている取り組みで「アニマルスマイル香川」というNPO法人を運営する吉田文香さんが積極的に進めています。

(アニマルスマイル香川 吉田文香代表)
「イヌもネコも保護しているが、保護しきれなくなっているのと、里親が見つかりにくい状況になってきていて、じゃあ野良猫を減らす活動に重点を置いた方が良いのではないかと始めた」

2011年に活動を始めたアニマルスマイル香川。県内で山を切り開いて施設を整備し、ネコやイヌの保護活動を行っています。飼い主と死別したり、病気やケガで身勝手な飼い主から見放されるなど行き場所を失った約200匹を保護していますが、その6割以上がネコです。

香川県で保護されたネコの殺処分率です。年々減少していて改善しているようにみられますが…

(アニマルスマイル香川 吉田文香代表)
「(行政は)イヌは通報があったら捕獲にも行くがネコは捕獲には絶対に行かないし、拾って(市民が保健所などに)持って行っても突き返されるから数字には表れない」

この日、病院で手術を受けたネコは約30匹。術後は再び捕獲されたエリアで生きていきます。耳はサクラの花びらのようにV字にカットされ、飼いネコと判別できるようにします。

こちらの女性は地域で見守っていくと話してくれました。

(手術後のネコを連れて帰る人)
「ご飯をあげて死ぬまで大事にしてあげられたら。香川県も、もう少しこういう活動に力を入れてほしい」

小さな命を守るために地域が一体となって進めている保護活動。しかし、飼い主一人一人がしっかりと責任を果たすことが殺処分ゼロに向けた一番の手だてです。

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